クッキングハウスからこんにちは No.222
(記事の一部抜粋)

2025年6月10日発行


私のリカバリーの物語(第十七回)
苦しい思いをしてきたから、楽しんでいいんだ!
私がクッキングハウスに通い始めた時。一番楽しみにしていたのが、ティータイムにみんなでするコミュニケ―ションゲームでした。まず、おやつや紅茶を味わってから、そろそろ…という空気になると、ゲーム大好きなきよみさんが「山の手線ゲームやろうよ!」と、待ってましたとばかり叫びます。みんなもなんとなくわかっていたので、今日のお題は何かな?と、きよみさんを見ると「京王線の駅!」とか「力士の名前!」とかお題を決められて、みんな「えー!」と口々に言いながらもゲームを始めるのです。
10年間ひきこもり、仲間と楽しく過ごすことができなかったので、私はこの時間が大好きでした。家で「今度、このお題が出たら…」と予想して、メモを書いたりするくらいでした。この時期に松浦さんが話してくれたことを今でもよく覚えています。「今まで苦しい思いをしてきたのだから、これからはみんなでおいしいものを食べたり、旅行したりして楽しみましょうね」。どのメンバーもそれぞれ地獄の苦しみを通ってきた人ばかり、これからは楽しんでいいんだ、と笑顔になりました。「楽しいことが多いと健康な部分が大きくなって、相対的に病気の部分が小さくなっていくのよ」とも言われ、私を含めメンバーたちは「そうなんだ」と、うなずきます。私はなんだか肩の荷が下りたような気分になりました。
それから30年、今もクッキングハウスは楽しむことを大切にしています。おいしい食事、手作りケーキ、うたづくり、旅行などなど。その中で笑顔を取り戻し、次の一歩へつながる力を少しずつつけてきたと感じています。自分の得意ジャンルを発見したメンバーもいます。思春期や若い頃に発病することが多い心の病。時間を巻き戻すことはできませんが、今からだって楽しめます。                    
(前澤真貴子)

SST普及協会30周年記念大会に参加しませんか
当事者からみたSSTの良いところ 座談会にメンバー参加
SST普及協会30周年記念事業本大会が開催されることになりました。テーマは「人とつながるソーシャルスキルで温かい社会を創ろう!」。その企画の一つ「SSTのここが好き!-当事者からみたSSTの良いところ・お役立ちどころ-」の第二部座談会「当事者からみたSST」にメンバーの内藤浩子さんが参加することになりました。当日は、メンバーとスタッフで応援に行くことになっています。
又、この大会にクッキングハウスからも、クラウドファンディングを通じて小さな応援をさせていただいています。米国UCLAのE.A.ローガソン博士の「ASDの若者のためのSST」について、E.Lグランホルム博士の「認知行動SST」についての講演も予定されているそうです。世界の仲間とSSTの未来と希望について語り合えることが楽しみです。
                                                              (井出歩)
 2025年7月5日(土)・6日(日) 帝京平成大学 池袋キャンパス
※「座談会:当事者からみたSST」は、6日(日)(15:30~17:20)
問題がおきたらすぐにSST
私が統合失調症になり、仕事を辞めてひきこもりがちになっていた時、主治医にクッキングハウスを紹介されました。SSTでの最初の課題は、主治医に「障がい年金を申請したいので、診断書を書いてほしい」と頼むことでした。仕事を失い、小遣いを親にもらうことで肩身が狭いことをとてもストレスに感じていましたが、SSTで練習し、障害年金を無事受給できることになりました。又うまくいかなかった家族と少しずつ和解していくための課題を出し、クッキングハウスでの人間関係の課題へと広がっていきました。「父親を好きになるには」という家族SSTのテーマの時も課題をだし、父との関係が楽になりました。2024年9月16日に父を見送った時も「私を育ててくれてありがとう」と心から伝えることができました。問題が起きるとすぐにSSTに課題に出して解決を一緒に考えてもらえるので、なくてはならないものになっています。クッキングハウスに通って15年経ちますが、再発せず、母との2人暮らしも程よい距離をとり、穏やかに暮らせています。(内藤浩子)

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