記事内容


天声人語  2002年11月2日(土)

「サバのみそ煮、ジャガイモのそぼろ煮、ワラビのお浸し、白菜のかき玉汁、玄米ご飯。東京
都調布市にあるレストラン「クッキングハウス」の日替わりランチは無農薬素材と家庭の味で、
常連も多い▼作っているのは心を病んで通院している人達である。開店準備だけ手伝う人、調
理も接客もと意欲的な人。千円でおいしい昼食を出すレストランは、80人の精神障害者が人と
交わり、それぞれのペースで好きなだけ働く社会復帰のレッスンの場でもある▼20年ほど前、
ソーシャルワーカーとして精神科病棟で働くことになった松浦幸子さん(54)は、初めて見た患
者たちの姿に衝撃をうけた。トレーニングウェアで無表情にうずくまっている。家族の面会も絶
え、人生の大半を入院したままの人もいた▼一人ひとりに寄り添ってみると、繊細で不器用な
人たちだった。人間だれしも病むことがある。ありのままを受け入れ、支え合う場があれば、病
院を出て生きていける。友人と貯金を出し合ってワンルームマンションの1室をかりた▼退院し
た患者や通院中の患者が一緒に食事を作って食べて本音で語り合う。心病む人たちの居場
所はいつのまにか地域に開かれ、レストラン兼地域の活動の拠点となった。12月には15周年
を盛大に祝う▼全国で32万人もの精神障害者が入院生活を送っている。北海道浦河町の「ベ
テルの家」は、患者達の日高昆布の産直事業や「幻覚妄想大会」で、すっかり有名になった▼
少しの助けと発想の転換があれば、地域で暮らしていける人が少なくない。」

以上


毎日新聞   2003年1月29日(水)

 「13ページ: 生活 いきいき 家庭」 欄の「読む」で「続・不思議なレストラン 松浦幸子著」が
紹介されました。内容は次の通りです。

「 心が疲れた時、街の中に気楽に行ける場があるといいーーー。 精神ソーシャルワーカー
の著者が、東京都調布市にレストラン「クッキングハウス」をオープンして15年。心を病んだ人
と一緒に食事をつくり、「おいしいね」とほほ笑みあったとき、みんなの表情がやわらぐ。そんな
温かいレストランでの日常と、集う人の症状や気持ちも描いている。
 今では「居場所」も3カ所に広がった。心の病気でつらく思っている人も、「共に地域の中で生
きていこう」と呼びかける。

(教育史料出版会・本体1600円)」

以上



新潟日報  2003年2月17日(月) 

 社説で、「地域の福祉文化  私達はひとりぼっちじゃない」と題して次ぎの内容(抜粋)で紹
介されました。

なお、内容全文は次のURLでご覧になれます。
http://www.niigata-nippo.co.jp/column/old_search_sya.asp



 前半略

 スローライフやスローフードという言葉こそ使わなかった。しかし、心を大切にし、弱い人たち
の側に寄り沿った文化、食事を中心にした温かくて優しい文化を発信し続けてきた活動がここ
にある。

 それを紹介し、福祉と文化について考えてみたい。

 栃尾市出身の精神科ソーシャルワーカー松浦幸子さん(54)が、東京都調布市のまちの片
隅に小さなレストラン「クッキングハウス」を開いたのは1987年のことだ。

 人生の途中で心を病んだ人たちが、食事を通して語り合い、つながり合える居場所づくりを
目指した。

 地域のアパートなどで暮らす精神障害者のための生活支援の場だ。5年前には夕食を共に
しながら夜に活動する「クッキングスター」も誕生させた。

 毎週、長野県の農園から届く無農薬野菜を主材料に、メンバーが協力して献立を考え、料理
する。

 一度は生きる自信をなくした人たちが、仲間を見つけ、おいしい食事で心も体も元気を取り
戻し、あすもなた頑張っていこうと励まし合う。

 そんなクッキングハウスの活動が昨年12月に発足15周年を迎えた。記念のシンポジウムと
コンサートを開催して大盛況を博した。

 心を病む当事者と支援者の手でクッキングハウスの歌「不思議なレストラン」を創作し、CDブ
ックス「へいなよ(泣くなよ)ー私達は独りぼっちじゃない」を発売した。

 15年間の活動をつづった松浦さんの著書「続・不思議なレストラン」も出版された。その中
で、松浦さんが語っている。

 「弱い立場の人たちが仲間になってこんなに元気に暮らしているよ、競争するのではなく、や
すみたいときにゆっくり休めるベースをつくり合って一緒に暮らしているよ、という優しい文化
を、私達は届けたい」

 「福祉は文化だ」といわれる。哀れみや上から与えられるお恵みが福祉だという時代は終わ
った。だれもが人間らしい生活と人権を保障されるよう、福祉の質が問われる時代だ。

 質の高い福祉とは、障害のある人も、病気で人生につまづいた人も、お年寄りも、一人ひとり
が尊重され、生きていることを幸せだと感じられるぬくもりを欠いてはあり得ない。

 共に支え合う文化を耕し、広げる営みは、豊かな地域社会の構築につながっている。クッキ
ングハウスの活動は、自分たちが暮らす場で福祉文化を見事に開花かさせたお手本だ。

 私たちが置かれた閉塞状況に負けないためにも、草の根の活動に学び、それぞれの地域で
福祉文化を育てたい。

以上






朝日新聞 2003年2月20日(木) 家庭欄の「読む」で 「続・不思議なレストラン」が紹介されま
した。内容は次の通りです。


「続・不思議なレストラン  松浦幸子著

 ソーシャルワーカーの著者が東京都調布市で、心を病む人たちが地域で働くレストラン「クッ
キングハウス」を開いて15年。10周年の時にまとめた「不思議なレストラン」の続編だ。

 日常生活の各場面での人との接し方を学んだり、各地の作業所など気持ちを共有する人た
ちと交流したり。孤立させられがちな心病む人たちが、一緒に食卓を囲み、「おいしいね」から
始まるコミュニケーションの輪を描く。

 「弱い力を寄せ合って一緒に生きていこう 街のあちこちに こんなあったかい居場所ができ
たら 私たちはひとりぼっちじゃない」。当事者や家族だけでなく、すべての人の心に届くメッセ
ージだ。「弱さから生まれる人と人との絆、優しい文化を伝えたい」という熱気があふれている。

(教育史料出版会、本体1,600円)」


朝日新聞 武蔵野版 2004年4月13日(火)

ひとり暮らしの知恵 本に
調布の「クッキングハウス」
不安体験の20人を調査

(以下 抜粋です)

人生の途中、さまざまな事情で一人暮らしをする人たちに、勇気と安心感を贈りたい――。こんな思いで1冊の本が誕生した。題名は「私もひとりで暮らせる――心の病気をしたって大丈夫」。心を病む人たちの居場所「クッキングハウス」(調布市布田1丁目)の仲間達が、家計のやりくりや簡単でおいしい献立、落ち込んだときの対処法などを聞き取り調査し、まとめた。体験が生み出した暮らしの知恵がつまっている。(以下 かなり詳しく紹介されています。省略)



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