ホーム > 心の居場所(2020年8月号)

“おいしいね”が、いのちの源


暑い夏の到来です。皆様お元気でいらっしゃいますか。大雨による水害にあわれた各地の方々に、心よりお見舞い申し上げます。コロナ禍の中、元の生活に戻るのがどんなに困難なことかと案じておりますが、一日も早く穏やかな暮らしができるように祈っております。
それにしても日本の農業はどうなっていくのでしょう。日本の食糧自給率は、30パーセント余りになっています。通信No.192にて、80歳まで現役で農業をやり、おいしい米をつくって人々に喜ばれていた兄の死を書きました。米を作らなくなった村の農家の数件分を兄は引き受けていたのでした。兄がいなくなり、日本の中で米をつくる人がまた少なくなりました。荒廃していく田んぼの風景を思うと悲しいことです。
クッキングハウスはコロナ禍の間も月曜から土曜まで毎日開けて、野菜いっぱいのおいしい食事を作り続けてきました。各地から旬の野菜や果物を送っていただき、メンバー達にもレストランのお客様にも、しっかりとたっぷり食べていただき、喜ばれてきました。満足な食事は体を元気にし、心も豊かにします。クッキングハウスが穏やかでいつもみんなの笑顔があふれているのは“おいしいね”と、うなづける食事があるからです。
人は飢えたら心が荒れて、平和な社会をつくることができません。コロナの問題からみえてきたのは、自然と折り合いながら、地球市民みんなの食糧の安定供給を考えていくことでしょう。命を輝かせるために。                   

(松浦幸子)