ホーム > 心の居場所(2016年8月号)
命の尊さを踏みにじられた無念さ
 〜今こそみんなで語り合おう〜

悲しく、やるせなく、言葉にすることもうまくできない、
凶悪事件が起きてしまいました。
「障がい者はいなくなればいい。日本国のためになる」という考え方で
犯行を予告する手紙を、容疑者は衆院議長公邸に持参していました。

安心できる場として、日々の生活を平和に穏やかに暮らしていた
入所者の一人ひとりのことを思うと、あまりにもむごいことをと、
胸が苦しくなります。

どうして、容疑者は施設で働いていながら、
こんな差別意識をもってしまったのでしょう。
職員こそ、人権感覚を常に磨いていくことを自分の課題としてやっていかなければならないし、そのことが障がいをもった人に寄り添って働くことの自らの生きる誇りになるはずです。残念でなりません。

メンバーたちが、この事件から受けた恐怖心や不安は
とても深刻なものでした。
“精神障がい者への偏見が強くなり、
差別がひどくなったらどうしよう”と
夜も眠れなかったメンバーもいます。

一人でつらさを抱えていることはよくありません。
緊急に気持ちを語りあう会を持ちました。
こういうときこそ、クッキングハウスに行こうと、みんなが集ってくれました。
悲しみや恐れや不安を自分の言葉で語り、
仲間の気持ちも聞いているうちに、自分だけが怖いのではないのだ、
仲間がいてくれると分かり、落ち着いてきました。
いつも通り、明るく元気に、堂々とクッキングハウスの活動をやっていこうと
確認し合いました。
そして、二度とこんなむごいことが起きないように、
亡くなられた方に黙祷を捧げました。

再発の防止のために独立した調査チームをつくって、
徹底的に調査・分析をして、障がい者に対する偏った思想が
どこから生じてしまったのか、解明していくことを切に望みます。
                                 (松浦幸子)