ホーム > 心の居場所(2010年10月号)
      心にゆとりを取り戻したい
〜明日 お日さまがでてから考えます〜

体力を維持するのが大変だった夏が去り、秋の嬉しい収穫の風景がみられるようになりました。皆様お元気でいらっしゃいますか。
10月1日はクッキングハウスの創立記念日で24年目の活動に入ります。1987年10月1日不動産屋さんからカギをもらい、小さな12畳のワンルームのドアを開けました。手荷物は、やかん・まな板・包丁・コーヒーカップと皿これだけでできる昼食をつくりましょう、と最初のメンバー・浅利さんとサンドイッチをつくり、紅茶を入れて飲んだ日が忘れられません。
それから家具職人の長野の溝口さんに、から松の木で大きなテーブルを作ってもらいました。その後の引越しにもいつもテーブルはついてきましたから、一緒にご飯を食べたり泣いたり怒ったり笑ったり、テーブルは何でも知っています。増野肇先生のサイコドラマ(月一回第4水曜日、夜)で今度テーブルを主役にしてドラマをやってみたいと思っています。
あの日から、心の居場所としてたくさんの人達を迎え、一人一人の人生と付き合ってきました。どんなにつらい時でも食事を一緒に食べると、瞬時おいしく食べることに集中します。無心に食べている姿を見ていると私の心も満足し、「やっぱり、ご飯を仲間と食べることは最高の福祉だ」と納得するのです。食べることを共有しているだけで平和なコミュニケーションをしているのですから。この場にいることで、せっぱつまっていた気持にゆとりがでてくるのです。
「今夜はとりあえずご飯を食べて、寝ましょう」と私が言うと、出口がないと思う程苦しんでいたメンバーが顔をあげ「明日、お日さまがでてから考えます」とにっこり。なんて素晴らしい発想でしょう。詩人になったみたいに夢のある言葉に、私の心が洗われました。
クッキングハウスの居場所は、心にゆとりを取り戻すために、安心感をプレゼントするところ。そして、一人一人の可能性を見つけ、自分のペースで歩みだすところ。そのことを一人で頑張るのではなく、仲間と共に楽しみながらやっていくところ。
24年目の活動に入り、もう一度心の居場所の原点をみつめたいと思います。(松浦幸子)