クッキングハウスからこんにちは No.205
(記事の一部抜粋)

2022年8月1日発行

 
私達のうたを育てて届けたい
心をほぐす 優しいうた


毎日、新しく出来た16曲のうたをCDで聴きながら活動しています。ティータイムや夕食会のあと、土曜の大昼食会のあと、プログラムの間を縫っての自主練習、そして講座のウォーミングアップに歌っています。
思いを詰め込み過ぎて言葉数が多く、滑舌をはっきりさせて歌わないと、聴く人には上手く伝わらないかもしれません。言葉をシンプルにして、しかも深く伝わる歌詞にすることは、とても難しいことなのだと気づきました。
でも、メンバー達は、詞にきちんと向き合い、何度も読みメロディーを考え、一つの歌詞に何人も曲を発表していってくれたのです。私は曲が発表される度に歌詞の伝えたい思いが新しい世界として広がっていくことに驚き、その発見にただもうひれ伏したい尊敬の気持ちでいっぱいになりました。メンバー達の素晴らしい感性の豊かさ、心の素直さに感動します。メンバーの無限の可能性をいつでも伸び伸びと表現できるように、居場所の環境を用意しておくのが私の大事な役割であることも改めて自覚しました。
こうしてうまれてきた16曲を、毎日うたいながら育てています。日々の苦労や、緊張や不安やストレスで固くなった心をほぐしてくれる優しいうたになっています。皆様の心に、優しい風としてどうか届きますように。 (松浦幸子)

35周年記念ブックレット制作中

35周年を祝う会の記念として当日お渡しできるようにブックレットの制作中です。台本、楽譜、出演者紹介、そしてメンバー達の感想文集です。文集を書くということは、また新たなチャレンジで集中力、エネルギーのいることです。「ええ~、どう書けばいいの」と戸惑いがしばしありましたが、自分の思いと向き合ってみるいいチャンスと捉えたら前向きになります。有難い事に、皆に伝えた翌日から原稿が集まってきたのです。生き生きとして、それぞれの個性がそのまま正直に表現された文章ばかりです。
こんなことを書きたいという相談も次々とあります。「初めてクッキングハウスの紹介会に来た時にうたをうたって皆さんが迎えてくれました。こんな作業所は日本のどこにもない、と感動してメンバーになりたいと思ったんです」私達がいつも自然に歌っていることが、「ここ来ても大丈夫ですよ」というメッセージになったなんてとっても嬉しい。「最初の出会いって一番心に残る事ですね。そこから書き始めたらどうでしょう」こんな話し合いから文章の書き出しが決まったり。
最後まで曲作りに苦しんだ、小沢隆秀さん作詞の「お父さんの唄」。それぞれのお父さんを思いながら何人かが曲を発表しましたが、楽譜にまとめるのに増田康記さんも難儀したそうです。自分自身の父親に重ね合わせて、心にしみて泣けてしまううたになりました。小沢さんがにっこりとした表情で、感想文を手渡してくれました。(松浦幸子)


「今回、私は【お父さんの唄】を作詞しました。この詞を書いた時は父も存命中で、父との楽しい交流を書いたものでした。父とは、よく昔の話をしていました。父の少年時代、戦争中の頃、働き出した若い時代、そして母との思い出話、私の知らない父の姿を垣間見てきました。
【お父さんの唄】を書き上げた後に父は倒れ、闘病しましたが寿命が尽きてしまい帰らぬ人になってしまいました。正直、【お父さんの唄】を書いた事が辛い時期もありました。松浦さんに話そうかとも思いました。でも、皆が私の詞を一生懸命に理解しようとして補作してくれて、曲まで作ってくれて一つの形になると、私の気持ちも変化してきました。増田さんが話していた『それぞれのお父さんの事を思い起こしながら歌ってくれれば』と話した事は、それは嬉しく思いました。
私の拙い一編の詞が、皆のそれぞれのお父さんの事を思い起こして歌って貰える事は、本当に嬉しい事です。何て幸せな事ではないか、と思いました。私の【お父さんの唄】が皆の【お父さんの唄】になって広がってくれれば、と願っております。
私の詞に尽力を尽くしてくれた松浦さんや増田さん、そしてメンバーの皆様に感謝を申し上げます。ありがとうございます。父との楽しい思い出が歌になった事は幸せです。宝物として、大事にしてゆきます。」(小澤隆秀)


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