【 も く じ 】(青字の記事を抜粋してあります)
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文化座観劇 『アニマの海』
浄土の海になることを願って
石牟礼道子さんの『苦界浄土』を文化座が演劇として表現するという。
漁をしながら、慎ましく心豊かに暮らしていた日常を破壊してしまった水俣病。
豊かな海が“苦海”に変わってしまった。
公害の苦しみは、今もずっと続いているのだ。
もともと浄土である海なのに。
こんなにも重たい歴史を、どんな形で伝えてくれるのだろう。
とにかく、皆を誘って観に行こうと、観劇日を5コースつくった。
賛助会員の津田さんが
「今までの文化座で、一番いいわよ。演出もすごいわ!」と感動して私に叫んだ。
石牟礼道子役の姫路実加さん。
感情を入れすぎず、ある距離を保たなければと言い聞かせながらも、
水俣病に侵される人々と共に悶え苦しみ、
寄り添う姿を演じることは、とても難しいことだろう。
病に倒れた患者たち、
そして必死で看病する家族たち、
声に出すこともできない苦しい日常。
弱い人たちに寄り添うということは、誰かが表現して伝えること。
黙っていてはいけないのだ。
石牟礼道子さんは、水俣の人々の苦しみを引き受け、
その思いを、水俣の人々の言葉で、文学として表現したのだ。
“寄り添う”ことを今年のメンタルヘルス市民大学のテーマにして、皆と学び合うことにしよう。
(松浦幸子)