クッキングハウスからこんにちは No.152
目次(青字の記事を抜粋してあります)2013年10月22日発行
もくじ
巻頭言:26周年の秋…1、特集・メンタルヘルス小谷村…2、市民大学・当事者研究…4、府中…5、in川崎,刈羽村…6、路地裏フェスティバル,旅スぺ・路地裏金沢…7、動くin毛呂山町,ハローかるた…8、仲間紹介,高橋明美さん退職,笠木透コンサート開催,
賛助会お礼…9、紹介会,中先生気功…10、文化学習企画,お知らせ…11、動く,各地からありがとう…12
人間関係をよりよくする コミュニケーション講座メンタルヘルス市民大学in 小谷村 10月1日~2日
みんなで一緒に生きていくためのコミュニケーションの学びを練習しましょう
<はじめに>…4期目を迎えたメンタルヘルス市民大学を、小谷村で開催できることをとても嬉しく思います。「継続は力なり」です。積み重ねてきたプロセスに意味があるのだと思います。一緒に学び、語り合い、寝食を伴にしたことが人生の宝物です。どうしたら一緒に平和に生きていけるのか。相手の良いところを認め、自分の気持ちも伝えていくにはどうしたらいいのか。怒りが湧くことは誰にでもあること。怒りを、自分も相手も成長するバネにしていくにはどうしたらいいのか。共に学んでいきましょう。
こんな呼びかけで始まった小谷村での一泊合宿。伊折集落には古民家を再生した体験学習の家「ゆきわり草」が完成して、落ちついて語り合い学べる場として待っていてくれました。南小谷駅から歩いて登っていくと、「ゆきわり草あっち」、「ゆきわり草こっち」、「ゆきわり草もうすぐ」と、折れ曲がる坂道ごとに看板が置いてあります。まるで宮沢賢治の童話の世界に入りこんだようで、すっかり楽しくなりワクワクしてきました。
懐かしいお地蔵様が見えてきました。そして、高橋きよみさんとカモミールの皆さんが、秋の野の花を大きな壺いっぱいに活けて、素晴らしい会場をつくって、出迎えてくれました。田んぼには天日干しのはざかけ場ができ、栗の実も実って秋たけなわ。東京は雨だったのに、ここは秋晴れです。村の内外からも、参加者があり、クッキングハウスから14名、総勢40名近い大きな円陣で、さあ学習です。
1日目は、私メッセージの意味。紛争解決学の中でも、取得可能なコミュニケーションスキルとして私メッセージが理論体系化されています。
・「自己開示」は、少しずつ深めていくこと。まず、自分の気持ちを開いて、伝えることです。相手の様子を見ながら、すこしずつ自己開示を深くしていくことです。いきなり、すべての思いを開示しようとあせると、相手も困惑し、結果として受け入れてもらえないことになります。
・「怒りのコントロール」…怒りは、社会を変えていく原動力になるから、悪いものではない。ただし、人間関係の中で相手に怒りを感じたら、相手のいい所を見つけて、ほめてみましょう。
怒りを感じている相手に「あなたが間違っている」、「あなたが変わるべきよ」と、あなたメッセージを送り続けていると、相手は変わるどころか反発してくるので、悪循環の人間関係になってしまいます。思い切って考え方を変えて、相手のいい所を見つけて、ほめてみましょう。綺麗な絵葉書を手に取り、相手へのほめ言葉を書き、ロールプレイで隣の人に相手の人になってもらい、書いた手紙を読みました。これは、かなりの自分へのチャレンジで、思いもかけない涙の場面にもなりました。ワークショップでその場に仲間として居合わせた人達の味わえる感動でした。
夕食交流会には、皆さんの持ち寄った手作りのごちそうが、食べきれない位、たくさんテーブルに並びました。共働学舎のチーズや卵料理、煮物、野菜の肉巻揚げ、亨さんの餃子、いろんな種類の漬物。そば粉の甘辛きのこ汁、そうめん瓜の和え物、等々。一人ひとりが語ったリ、うたったり。クッキングハウスのみんなも、はつらつと歌って、会場を楽しくしてくれました。
2日目。高橋正宏さんの森林セラピーは朝7時に出発。北アルプスの峰々が、きりっと厳かに輝き始めました。刈り取って平らになった畑にシートを敷いて、大の字に寝て腹式呼吸。目を開けると、大きな広い秋の空。
そして朝食は共働学舎のパン、正宏さんの自家製・秋の野菜たっぷりのピザ。きよみさんの手作りジャム。野菜のスープ、美味しいコーヒー、共働学舎の卵の目玉焼き、サラダ、ヨーグルト、と、豪華です。
午前中のコミュニケーション講座はSST。次々と課題が出て、一緒に考えたり、ロールプレイで練習したり。
お昼の準備をして頂く間、私達は楽しみにしていた栗拾いをさせて頂きました。まさに「大きな栗の木の下で」のうたにあるような木の下で、息子の恭大に木に登ってゆすってもらい、夢中で沢山拾いました。栗のイガを両足で広げて、むくのも上手になりました。いつも廊下のところで恥ずかしそうに、取って来たばかりの山菜を持って立っていてくれる中島青年も、今回は栗の木を案内してくれました。「舞茸と新米の放射能検査はしたけど、何も出なかったから大丈夫だよ。」と初めて私とも話してくれました。中島さんのきのこは、とても美味しかったです。少しずつ近づいてきてくれて、会話もできるようになった中島さんの誠実さが心に沁みました。小谷村は、いい村です。 (松浦幸子)
〈心地よい環境で学んで〉 斎藤敏朗
一日目の講座では、途中、前沢さんの「ギフト」、亨さんの「愛のうた」の2曲も聴くことができて、「ダメな人間じゃないよ、愛されているからそのままでいいよ」と語りかけてくれるような、あたたかい気分になりました。講座の最後には、宮沢賢治の「雨ニモ負マケズ」を朗読させてもらいました。詩の中にある、困った人、苦しむ人がいた時、「行ッテ」あげられるような心の持ち方ができるようになれたら、本当に素晴らしいです。
〈小谷村には宝がいっぱい〉 岡村陽子
今年、私は小谷村の市民大学1泊2日に参加しました。2回目の参加です。「ゆきわり草」という素敵な名をした、江戸時代からの建物を改築し、素晴らしい古民家イベントホールが出来ていました。コミュニケーションの勉強、自分の考え方の悪い癖。心の古傷がまだ痛むこと。コツコツ、漢字ドリルのように、または、ロールプレイングゲームのように、コツコツ自分にしみこませ、また忘れて、また勉強。毎日の生活に生かし経験値を上げて、終わることのない自分そだて。村に実っていた、まっ赤なラズベリーの実のように、咲いていたつゆ草のように、自分のことも好きになれたらいいな。
小谷村には宝がいっぱい。温泉、美しい川、小さいヘビがぺったんこになった死がい。山菜、栗、井戸水、山の恵み。透き通った谷風が心を洗ってくれている時間。夜、みんなでおいしいごはんやお酒を飲むこと。夜中に外に出て、虫の音をバックミュージックに、満点星を観て、宇宙に思いを馳せること。ぐっすり眠り、朝、地面に転がって空をぼーっと眺め、雲が人の顔になってきて、「フフッ」と笑ってしまったり、でたらめな鼻唄が出てきて、「あぁ、自分は今、リラックスしてるぅー。」と喜びました。本当はもっと、小谷村を転げ回って、どろだらけになって、もっともっと宝を発見したい。何が宝かは、一人ひとりの心次第。もっともっと宝を見つけられる心になりたい。小谷村は、宝島。
~講座に参加した方々より~
・年を重ねるごとに、「クッキングハウスっていいなぁ」と思う。「そのままのあなたでいいのです♪」頭では分かっているつもりでも、僕にとっては難しい。だけれど、今回のメンタルヘルスの学びで、ちょっとだけ分かったことがある。ガンバっている自分も、カッコウつけている自分も含めて、色んな自分、特に弱い自分を大事にしたいと思えたこと。心が秋の空のようにスカッとして、気持ち良く、自分がちょっと好きになれたこと。うれしいな。(高橋 亨)
・「怒り」のような自分にとってマイナスの感情は、出来れば見ないふりをして通り過ぎ、忘れ去りたい感情です。自分の弱さから逃げたい。できれば自分を平静に保っていたい。けれど、それはピラミッドの下の方でモヤモヤとうごめいている、確かに自分の中にある感情でもあります。問題の外在化をして、きちんと見つめ、行動に移すこと。それが「SST」ですね。それは、一人ではなかなかできないこと。力を貸して頂いて、一歩前に出たかな、と思います。それは私の周りは変わらないにしても、私の中での変化です。一年に一度ではあっても、いつも私の背中を押して頂いています。(宮嶋実佐紀)
・「私メッセージ」を言葉にして、話すことは…相手を前にしては、つい構えてしまって、やさしいようで…難しいことに気付かされました。お二人の自作のうた、とっても素敵でした。うたにすることで…自分の気持ちを他人に伝えること、素敵です。(片山モト)
・”写真を撮るから笑って”と言われても笑えませんでした。でも今回は、おなかの底から笑えたので、リカバリーがかなり進んでいると思いました。(内藤浩子)
メンタルヘルス市民大学 第3回報告 8月31日 開催
テーマ:〈当事者研究Ⅰ〉
土曜日のメンタルヘルス市民大学には、石川県から小矢野由美さん、紅茶の時間の水野スウさん、岩手県から石井さん、と、各地からの参加者で豪華な学びのごちそうの日になっています。学ぶことが何よりのごちそうになるなんて、なんと幸せなことだろう、と、感じる時間です。「当事者研究」に入ると、ちょっとドキドキします。自分自身を研究の主人公にするのですから。
「べてるの家」から発信された【当事者研究】は、統合失調症等の当事者のリカバリーに大いに力になっただけでなく、不安な今の時代を生きるすべての人に、希望をプレゼントしてくれたと思います。誰もが自分の人生の当事者として、生きづらさに向き合うことで自分をしっかり眺め、仲間の応援をもらって一緒に考える、孤立しないで可能性を見つけていける当事者研究。
キーワードの中に「人と問題を切り離して考える『外在化』」があります。早速、自分と問題の切り離し「自分が問題なのではなく問題が問題なのだ(外在化)」のために、自己病名をつけるところからスタート。何も問題は解決されないのに、自己病名をつけただけで、とっても楽になってしまうから本当に不思議。しかも自己病名はユーモア精神でつけて、発表し合うのです。次々と発表される自己病名に、ほうっと感心したり、なるほどとうなづいたり。共感の笑いが起きたり。斎藤さんが白板にびっしりと書いてくれました。一人ひとりの個性が違うように、みんな苦労も違うのです。
・不安落ちがひどく、よく泣き、自分も周りの人も振り回す結果、自信がなくなる病
・あれもしたい、これもしたい、やりたいことが次々浮かび妄想膨らんで頭グルグルパンク寸前病
・周りの人がどうしても気になる病
・緊張して人と上手にコミュニケーションできない病
・自分の今の状態がよくわからない病
・完璧主義者なのに、うつうつ、のろのろ、じりじり病。スイッチ入るとここぞとばかりあれもこれもやりすぎ、へとへとになる病
・自分のしたいことは後回しで娘のことを優先する病
・先回り心配性
・早め早め段取りせっかち病 回復期
・感受性敏感 心のカメレオン病
・うつ病が治らない病
・”いいよ”とすぐ引き受けてしまう病
・人とはケンカしたくないと思っているのに子どものこととなると人とぶつかってしまう病
・今やることに夢中でほかが見えない病
・めんどくさい症候群
・暴露病
・貧血で倒れ指導を受けごはんをしっかり食べ薬を飲み暑さのためすぐ眠くなり太り、クッキングハウスでゆっくりペースでよくあせる病
・言葉をうのみ消化不良型しんどくなる病
・上手に断りたいけど断れずいっぱいいっぱいになる病
・人に好かれたくて相手に合わせてニコニコし過ぎて後で後悔して不安定になる病
・親の死後が不安となり次から次へと不安見つけ上手さん。でも人生楽しくすることを増やしたいともがいている病
当事者研究として発表してくれた前沢真貴子さんの「母との距離をうまくとること、母を認めることが出来るようになった自分の自立と成長について」は、この18年余りの歩みを眺めてまとめてくれました。心配で近づいてくる母を、自立の邪魔をしないでと邪険な態度で怒りをぶつけていた自分が、認知症になり何度も同じ話を繰り返す母の話を受けとめて聴けるようになった。なぜ、そうなれたのだろう。明るく時々笑顔で話す前沢さんは、とても素晴らしい、やさしい女性に成長していました。 (松浦幸子)
メンタルヘルス市民大学 後半の開催日程
第5回 10月26日(土) 「当事者研究2」
第6回 11月30日(土) 「当事者研究3」・修了パーティー
時 間:13:30~ 講 師: 松浦幸子 場 所: クッキングスター
参加費:2,000円(ティータイム付) ご予約:042-498-5177
メ