クッキングハウスからこんにちは No.149

目次(青字の記事を抜粋してあります)2013年4月11日発行


もくじ
巻頭言:26年目スタート…1、特集…2、田邊順一写真集出版記念会…3、ごほうび旅行…5、動くクッキングハウス…6、マッシーDVD,家族SST…7、文化座観劇,ハローお仕事…8、キミ子方式,スウさん,吉本有里さん…9、父親学習会,賛助会お礼…10、文化学習企画…11、総会ご案内,動く,各地からありがとう…12

邊順一写真集 出版記念会 そのままのあなたでいい ―こころの居場所で出会った笑顔―
…アットホームな会に…

 
写真集の舞台はクッキングハウス。出版記念会も田邊順一さんの仕事や活動につながる方々に、私達の心の居場所を知って頂けるチャンスにしたいと、会場はクッキングスターに決まった。田邊順一さんの親しい方々145名に案内状を発送。呼びかけ人代表は、笠木透さん。いったいどんな方々に会えるのだろうと、まだ見ぬ人達のことを想像し、ワクワクする日々。笠木透さんの希望で、田邊さんのファミリーも参加することになった。前日は会場づくりとパーティーのごちそう作りで忙しい。ハッピーアワーもお休みにするほどだ。
 2013年2月14日の毎日新聞夕刊“eye”にも大きく取り上げられ、新聞を読んでの参加者もいる。当日3月9日(土)は晴天。朝からメンバー達もパーティー料理の仕上げの手伝いに来てくれる。レストランの玄関を受付場所にして、黄色いのぼりも3本立てて、すっかり祭りのムードが盛り上がった。続々と初めて出会う方々が到着。同級生の炎立さん。写真家仲間達。息子さん娘さん夫婦と孫達5人。なんと男の子ばかり。田邊さんが開会の挨拶をすると、“じいじい~!”と孫の呼ぶ声が飛んできて、ほほえましい。始まりと終わりに私達も「不思議なレストラン」、「古い木のテーブル」、「私の心の居場所」をうたった。スライド上映と田邊さんのお話の間のBGMは、増田康記さんのギター。たくさんのお客様のスピーチ。 全く思いがけなくて、私が嬉しかったのは、かねてからのファンだったポレポレ座の本橋成一さんが来て下さったことだ。「ナージャの村」(第17回土門拳賞受賞)の写真集に感動していた。チェルノブイリ事故後の人々の暮らしと、いのちの問題を深く見つめた「アレクセイと泉」はクッキングハウスでDVDの上映会も開催して、アレクセイのように、ゆでたジャガイモに塩を付けて食べながらシェアリングもした。そのことをお伝えすると、最近出版されたばかりの「うちは精肉店」(農文協)を贈って下さった。いのちを頂いて、いのちに生かす北出さん家族の誇り高き仕事が写された写真と文。写真家仲間の同窓会のようにもなったパーティー。みなさんが私達の手作り料理を喜んでくれて、大家族のパーティーのような出版記念会だった。クッキングハウスを知って頂けたことが何よりも嬉しいことだった。                                (松浦幸子)

本当にありがとうございました。そもそもこの本の始まりから完成まで、そして今回の会迄の何から何まで、皆さんの手と心によって生まれたものでした。この間の温かい心遣いと適切かつ大きなサポートがあったればこそ、生まれたものでした。本当にありがとうございました。参加してくれた友人たちも、この全てを実感してくれた筈です。
平岩さんからは謝意と「本当に素晴らしいひとときでした。心より感謝です…」と。写真家の熊井氏からは「こんなにアットホームな出版記念会は、これ迄、味わったことがありません。そして女性の人達のコーラスは本当に良かった…」というメールが届いています。なごやかで温かい会を演出してくれた笠木さん、増田さん、そして何よりも心からのもてなしをして頂いたクッキングハウスの皆さん。こんなにも優しく、温かい友人たちに囲まれていることの幸せをかみしめているところです。生涯忘れることのできない一日になりました。
これからも、この幸せを更に積み重ねていきたいものと、心より願っています。よろしくお願いしますね!本当にありがとうございました。 田邊順一


動くクッキングハウス  in 川崎市   全員参加型のコミュニケーションワークショップ
     「いのちを輝かせるために」~250人で しあわせまわし~  2月11日開催
 西野博之さんが代表の「フリースペースたまりば」が主催するシンポジウムが川崎市総合自治会館で行われました。基調講演は松崎運之助さん、パネルディスカッションは水野スウさんと松浦さん。きっと素晴らしい学びがあるはず。私も一市民として参加したいと思い、メンバーを誘って出かけました。2日前の朝日新聞神奈川版に掲載された、「心の病癒す“不思議なレストラン”楽しく働きながら笑顔」と題した松浦さんとメンバーの斎藤さんの記事を読んで来てくれた人もいて、100人の予定がなんと250人になり会場は超満員。クッキングハウスの活動そのものが、「いのちを輝かす」ことにつながると感じて来てくれたのだと思いました。大勢の人たちが、わかりやすくて満足のできるワークショップにするために、松浦さんとスウさんが臨機応変、あうんの呼吸で場を作り上げていく様は、まさにライブの醍醐味。急遽、私たちも舞台でデモンストレーションをすることになりました。そして、全員が参加しての大ワークショップ。奇数列の人たちがくるりと席を後ろに向け、2人一組で「最近あった小さな幸せ」を語り合います。たまりばの若いスタッフたちが、上手に2人組みになれるよう笑顔でさりげなくフォローしている姿が壇上から見えて、嬉しくなりました。
クッキングハウスのうた「風のメッセージ」、「私の心の居場所」を歌い、最後は大切なシェアリング。誰もが必ず一言は語れる場を保障することも、いつも私たちが大切にしていることです。メンバーの前沢さんは、「語り終えてこちらに全員が向き直ったとき、皆さんにこにこされていて、やっぱり話を聴いてもらうってすごく大切なことなんだ、と実感しました」と感想を寄せてくれました。   (田村陽子)


マッシーのスペシャル講座
「シナリオ・ソシオ・サイコミュージカル」DVD上映会&マッシー80才の誕生日会

昨年の2012年3月31日(土)、ルーテル学院大学の最終授業として、シナリオ・ソシオ・サイコミュージカル「私の歩んだ道と精神保健の歴史」が、たくさんの増野肇先生を慕う仲間達により、上演されました。みんなで創り出した、深い感動のソシオドラマは、多くの人達に、共感するチャンスが与えられました。この時の様子がDVDに記録され、クッキングハウスで観られることになりました。
3月29日(金)、クッキングスターでの上映会には、増野先生の幼なじみの松井さん、友人のロバートさん(仙台から駆けつけてくれました)、べてるの家の向谷地さんの娘さんの、まなさん。そして家族のみなさん、メンバー達、増野先生を尊敬する当事者達で満員御礼となりました。
劇団四季のような立派なパンフレットも出来上がりました。年表は1874年、森田正馬先生の誕生から始まり、2011年のルーテル学院大学の退官まで、世界の精神保健の歴史と増野先生の人生とが、たて糸・横糸になって織り込まれています。「1987年 クッキングハウス始まる」と記されており、とても嬉しくなりました。私は夜、家に帰ってから、自分自身の歴史をこの年表に入れていったところ、一生懸命生きてきたのだ、と、自分を認めることができました。
サプライズで用意した、マッシーの80才の誕生日会。“桜の木”になった倉方さん・那波さん・末安さん・長谷川さん・田中さん達が、先生へのプレゼントの言葉を贈ります。さすがサイコドラマを学んだ弟子達です。那波さんはマッシー語録をつくってきました。山田薫さんの手作りケーキも、マッシーの姿が形作られています。先生からは、ブロードウェイでうたうマッシーのイラストが貼ってある、ティールームのみんなが作ったクッキーが配られました。精神科医であることを忘れているかのような、超越した心を持っておられる、私達の愛するマッシー。誰にでも分け隔てなく接してくれ、困った時は時間を惜しまず相談に乗ってくれます。
グループを育てることを一番の願いにされている先生の志を受け継いで、私もソーシャルワーカーとして自分を磨いていきたいと思います。
増野先生、いつまでもお元気でいて下さいね。                       (松浦幸子)



家族SSTが あたたかな学習グループとして成長してきました
家族という立場なら、だれでも参加できる会です。毎月、初参加の家族がいますが、みんなあたたかく迎え入れてくれます。「月一回の心の手当てをする時間にしましょう」が合言葉です。2時間学んだあと、ティータイムで交流する時間が30分。手作りケーキとコーヒーでシェアリングです。気を使う、張り詰めた日々を過ごしている家族のみなさんも、ようやく笑顔になって帰って行かれます。
テーマは、「こんな時、どうすればいいの?」と、つぶやかれたことを取り上げています。ちなみに3月のテーマは「ジグザグしながら回復する」でした。「なかなかすんなりと回復しないのは、どうしてかしら」という悩みのつぶやきが、もとになりました。 

病気になった当事者は、本来自分の中の回復力を発揮して、主体的に自分の力で生きていきたいと思っています。しかし、ストレスへの脆弱さ(ぜいじゃく  )を元々抱えているので、スムーズにいきません。環境の変化や人間関係、予期しない出来事に揺れてしまいます。最初から重たい荷物を背負って歩いていると想像して下さい。荷物のない人より、すぐに疲れるのは当然です。…しかし、失敗やリスクを恐れず、「いい経験をしているよ」と自らを肯定して言い聞かせて、やってみることが大事です。家族も一喜一憂せず、当事者がやろうとしたこと・やってみたことは、たとえ一日でも「いい経験や学びをしたね」と認めてあげることです。…ジグザグしながら回復していくことが理解できれば、人生という長い尺度で見守ってあげることができるでしょう。家族の心にゆとりが生まれたら、当事者もそのことを素直に感じて、自分のペースで成長し、回復していけるのです。            (当日のレジメより抜粋)
話の後、みんなで書き出してみる課題は、「当事者の様子を長い目で振り返った時(3年前・5年前・10年前という風に)、よくなったと思うこと、どんな小さなことでも書き出してみましょう」。しばらく考え、みんなが5~6つ書いてくれました。集中して考えている時、いい表情だなあと、いつも思っています。今ばかり見ていて気付かなかったけど、長い単位でみると…“イライラしなくなりました”、“前は口を聞いてくれなかったけど、話してくれるようになりました”、“最初は医者に行くことを、病気じゃないと拒否していて、母が通っていたのだけど、今は自分で通院するようになっています”、“家族が一緒でないと通院できなかったのに、最近一人で行けたんです”…20人の参加者が、それぞれ気づいたことをあげてくれたので、その一つ一つが宝物のように輝きだしました。
次には、良くなったと思うことを、子どもに具体的に私メッセージで伝える練習です。このロールプレイ場面は、自分を見ているようで共感し、泣き笑いになってしまいます。
こんな家族SSTに、ぜひお出かけ下さい。レストランのランチも家族同士が語り合えて好評です。                                                (松浦幸子)



ハローお仕事ミーティングでかるたづくり

 毎月第3水曜日、クッキングスターの昼間の活動が一息ついた夜、仕事をしている仲間や、将来、就労を目標にしている仲間が集う、「ハローお仕事ミーティング」が開かれる。約10年の歴史の積み重ねで、セルフヘルプグループとして、参加メンバー全員で司会や進行を行ってゆく。毎回、仕事に関する悩みや、就労に向けての悩みを、お互いに受けとめ、解決の糸口を探る。時にはSST形式、時にはメンバー各人の経験を語る。解決への道は、臨機応変に対応していく。
 ハローお仕事ミーティングの中で発せられる言葉には経験に裏打ちされた重みがあり、各人の胸に沁みてゆく。2年程前から松浦さんの発案で、このグループの終わりに行われるシェアリングの時間に、これらの言葉をかるたにしよう、という動きが始まった。
 「『がんばっています』と言える場所がここにあります」という、このグループがあることが、生活の自信につながる言葉や、「休息も大事な回復のステップ」などメンバーから貰った回復へのスキル、「難しく考えず、出来そうなことから頑張ってみよう」と、みんなからそっと背中を後押ししてくれる、330首もの言葉が、この2年間で集まった。
 今年の2月には、第一回目のかるた制作が本格的に始動。リハビリテーション学会での発表を目標に、集まった言葉を厳選し、かるたにはイラストも付き物なので、イラストの得意なメンバーが描いていく予定だ。どのような形になるかはまだ、わからないが、立派なかるたに仕上がるのは想像できる。ハローお仕事ミーティングのメンバー全員、楽しく、生活のヒントになる様、かるた制作を鋭意努力中です。(小沢隆秀)




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