クッキングハウスからこんにちは No.148

目次(青字の記事を抜粋してあります)2013年2月12日発行


目次
巻頭言:いまこころがつらい人たちに…1、特集…2、旅スぺ,ラオス報告…6、動く,マッシー講座…7、スウさんのピースウォーク…8、田邊順一写真集出版記念会…9、文化学習企画…10、マッシースペシャル講座,賛助会お礼…11、動く,各地からありがとう…12

旅スペシャル 分かち合いの国 ラオス
 
 2回目のラオスの旅は、キミ子方式のスケッチツアーでした。1953年、フランスから独立したと同時に内戦が続き、ようやく1975年、650年以上続いた王政が廃止され、社会主義国となったラオス。国旗は、赤(血)・青(平和)・白い丸(心)。苦難の歴史を歩んできた象徴です。国の体制がどのようになろうと、人々は仏教を深く信仰して、日々食べ物を分かち合って暮らしています。早朝の托鉢風景には心打たれます。黄色い袈裟を着た8歳の少年僧から老師まで、長い行列をつくり、裸足で音も立てず町の筋から現れます。人々は道路にゴザを敷き、ひざまづき、竹で編んだかごに入れた蒸したもち米を一口ずつ静かにお坊さんの鉢にささげます。声は全くなく、ただただ静かで、朝の清い空気に溶け込んだ風景です。お坊さんは自らの鉢が一杯になると、所々に置いてある大きな竹のザルに分け入れて、また托鉢をしていきます。すると子ども達がやってきて、ザルを学校に運び、貧しい子ども達に分けるのです。
 ラオスにはストリートチルドレンも、物貰いの子も、観光客に土産を売り歩く子もいません。貧しいけれど食べるものはどの子どもにも届いているのです。食べるものさえ十分にあれば人々の心は満たされ、憎しみや戦争にはならないのだと思います。人々の表情が穏やかで、話す言葉もゆったりしているので、旅人も安心して歩くことができました。
 パクセの世界遺産、ワット・プー。カンボジアのアンコールワットの前身と言われている、石造りの寺院。香のいいジヤンパーの白い花の並木道を通って石の階段を登っていくと、素晴らしい仏像の寺。人々はここに、極楽浄土をみたのでしょうか。ルアンバパーンは、世界遺産の美しい街です。ラオスで最も美しい寺、ワットシエントーンのガラスのモザイク画「黄金の木」は、人の一生が象徴的に描かれていて、夢中でスケッチをしました。ホテルのそばの寺、ワット・マノロームは、明るい色彩の仏画がいっぱい描かれていて、少年のお坊さんが食事を作ったり、勉強したりしていました。本堂の扉のレリーフは眠る女神さまと、うちわで風を送っている付き人の絵です。思いがけない、ゆったりした場面が、大きな中央の扉に彫られているので、とても楽しい気持ちになりスケッチしました。仏像をスケッチしている時が雑念も入らず、心が平和になる時間です。ラオスは今、周辺国からの経済侵入で、変わりつつあります。貧しいけれど分かち合う、人々の豊かな心が変わらないように祈るばかりです。
(松浦幸子)

〈報 告〉 ラオスの女性達の手織り作品展 1月12日(土)・13日(日)・14日(月)開催
昨年も好評だったラオスの女性達の手織り作品展。今年もぜひ開催を!というリクエストにお応えして、府中の「たまりばユネスコ倶楽部」の皆さんと共催で3日間の展示と即売会をおこないました。  
草木染などの天然染料で染められた伝統的な織物は、絹のショールやワンピース、コートに仕立ててあるものから、エコバッグやポーチ、ペンケースなどの小物、紳士用のネクタイまで、色とりどりにテーブルや壁を飾ってくれました。
初日には、楽しみに待っていてくれたお客さまが朝一番で駆けつけてくれ、クッキングスターはバーゲン会場さながらの熱気と活気。メンバーたちも、素敵なスカーフを首に巻いたり、ワンピースを試着したり、プレゼント用のポーチの色を比べては楽しそうに選んだりできました。最終日の成人の日、東京はあいにくの大雪でしたが、松浦さんが電話をかけまくってお誘いしたご近所の皆さんが入れ替わり訪ねてくれて、ティータイムも温かな時間になりました。売り上げは3日間で54万円。「ラオスの子ども」に支援することができました。      (田村陽子)

…「認定NPO・ラオスの子ども」共同代表・チャンタソン・インタヴォンさんのお話…
「女性が一人、自立すれば、その子どもに教育を受けさせることができる。だから女性の自立を応援することが大事で、ホワイホンに女性の職業訓練センターをつくっています。ラオスは、どんどん経済侵入され、子ども達の母国に対するアイデンティティが育ちにくくなっている。子ども達に一貫した教育をと願って、学校建築の途中です。私は自分の子どもには財産は残さない。私の意志を継いでいってほしい。」と、失敗も笑って気にせず、明るくゆったりと大きな夢を語る姿は素晴らしかったです。(松浦幸子)

動くクッキングハウス  in 川崎市 幸区
川崎市幸区提案型協働推進事業として「誰でも参加できるSST講座~楽しく練習・より豊かな人間関係が学べる~」が7回連続講座として開かれています。
 この講座の日、外には“のぼり”が立っていて、市民と行政とが協働で事業を行うことの積極的姿勢を感じ、うれしくなりました。子育てをしながら学び、語り合うことを平成12年から続けてきた「わたぼうし」のみなさんの企画。私と斎藤敏朗さんとで、動くクッキングハウスです。このチラシを見て、「私の学ぶことは、人間関係が楽になることだ」と気づき、初めての市民が参加してくれるのがまた、うれしいです。
 安心できるグループで、心の手当てができる時間にしてほしい。いつものおしゃべりとは違う、人の話に耳を傾け、自分の番になったら自分の気持ちを私メッセージで話す。そしてお互いの思いに共感したことをシェアし合う、質の高いコミュニケーションの時間だ。こんなグループの輪に座っていることが段々と心地よくなってきたら、本当にうれしい。斎藤さんも少しずつ成長していく自分の気持ちを、みなさんに丁寧に伝えてくれています。
 「マンションの廊下で会う人に挨拶する練習をしたら、次に会った時、家の中に逃げ込まないで挨拶ができました。」、「一人で喫茶店で過ごすことができるようになり、席を捜していたファミリーにも、どうぞ、と席をゆずることができました。SSTで練習したから自分から声をかけられたのです。」
 こんな報告を、みなさんがにこにことうなづいて聴いてくれています。最後は2人でうたをうたいました。誰かが、フレーズを口ずさんでくれています。“♪ぼちぼち行こか~思い立ったが吉日さ~そのうちいいことあるかもね♪”  (松浦幸子)


マッシーの心の健康講座 …グループの力を感じる時間…

増野先生の心の健康講座も、満2年が経ちます。世界の精神保健・福祉を展望する授業の後は毎回、いま思っていることを、自分の番が来たら話し、増野先生が適切なアドバイスするのをみんなで聴く。ひと回り終えたら、ふた回り目は、それぞれが話したことで共感したことなど、シェアしたい自分の気持ちを話すというサポート・セルフヘルプグループとなっています。
 こんなふうに、自分の近況やうれしいこと・困っていることを話すのを、みんなが聴いていてくれるという体験は、あるようでいて実は、あまりないものです。話しただけで解放され、楽になっていく心地良さを積み重ねていくと、相手の話も批判したり否定したりしないで、じっくり聴こうという心のゆとりが生まれてきます。ふっと気づくと、それぞれが語ってくれる話の内容も、楽しかったことや嬉しかったことが段々増えてきました。

・「この講座に出て、みんなの話を聴くと安心する。参考になる。だんだん外に出られるようになり、買い物にも行けるようになった。」
・「この講座に通うことが楽しくて、病気からも回復している。笑えるので健康にいい。みんなの 笑顔をみるのが幸せだ。」
・「息子がようやく手術できた。一緒に学びに来られるようになった。今までの長いひきこもりを思うと、息子の成長をこれ以上望んだら罰が当たる。」

増野先生も、こうコメントされています。「人の話を聴くことで、世界が広がったり、自分自身、人の話を聴く力が強化されたりして、それが自分の自信になり、発言できるようになっているようです。さらに、それだけでなく、家の中でも、聴くことが身について、周りの人がそれに影響されて家族全体が変わってきている人がいました。とても大事なことですし、とても嬉しいことです。人間は、周りの人との相互作用で生きているのであって、一人が変わることが、周りにも影響を与えるのです。」
 伸び伸びと自分を語れる雰囲気の中で、この心の健康講座を提案してくれた長谷川誠さんが、詩を書いて私にプレゼントしてくれました。なんとユーモアに満ちた感性でしょう。(松浦幸子)

松浦さんこんにちは。心の健康講座も後期に突入しましたね。ふと思いついた文章を
送らせて頂きます。いつもありがとうございます。

「ぼくのがっこう」      長谷川 誠

みんないっしょに まなぼうよ    まなんでかたって さいごにわらって
きょうのこうぎ ここまでここまで  さっそくはじまる おひるのじゅんび
グループグループどこにある  あるある あいは ここにある
いえでねてるの いいけれど  いつのまにか ついている
しらずしらずに ついている  わかってしまうの わかってしまう
わすれるまえに おもいだす  くすりがきいてて わからない
よけいなことが わからない  はなしではじまり はなしでおわる  あたりまえでもすばらしい

せんせい はなしてくださいと   はじまった こころのけんこうこうざ
いつもせんせいが ちかくにいてくれる  せんせいなんですよと いつもいわれる
ほんとのせんせい しりたいの
なっとうはおかずだけれど  ごはんはなっとうがすき
せんせいなんですよと いつもいわれる  ほんとのせんせい しりたいの
せんせいなんですよと いつもいわれる  ほんとのことが しりたいの
みんなよわいのわかりました  みんなつよいのわかりました


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