クッキングハウスからこんにちは No.147
目次(青字の記事を抜粋してあります)2013年1月1日発行
目次
巻頭言:心の平和を願って,同時出版…1、25周年記念コンサート特集…2、25周年ご寄付お礼,市民講座&ラオス&父親学習会,公開紹介会…6、文化学習…7、賛助会お礼, 動く,各地からありがとう,年始のお知らせ…8
特 集
25周年記念コンサート「私の心の居場所」
~悲しみの涙も、喜びの涙も一緒に~
〈新刊・出版物が並んだロビー〉
前日からの準備で、会場にはキミ子方式で描いた絵葉書カレンダーと、プログラムの入った引き出物の袋が並び、お祝いに届いたお花もいっぱい飾られています。
12月15日に出版となった、刷り上がったばかりの田邊順一さんの写真集「そのままのあなたでいい…こころの居場所で出会った笑顔…」(筒井書房)も、入口のそばに積まれました。表紙を飾る、あい子さんの笑顔が、なんとも深い優しさに満ちていて近付いて行きたくなります。その隣には、CD文庫「私の心の居場所」が並びました。満開の桜の木の下で、桜に負けない笑顔の私達の集合写真が、お客様を歓迎しています。
水野スウさんが、この日のプレゼントとして同日出版された「紅茶なきもち~コミュニケーションを巡る物語~」が、万依さんのデザインで若々しくやさしい本になって、クッキングハウスのコミュニケーションの学びの広がりを伝えてくれています。松崎運之助さんの「ハッピーアワー」(ひとなる書房)、西野博之さんの「居場所の力」(教育史料出版会)、増野肇先生の「みんな一緒に生きている」(やどかり出版)、笠木透さんと雑花塾のCD文庫「私の子どもたちへ」。本コーナーの、なんと豪華なことでしょう。みんなクッキングハウスの活動の原点とつながっている本ばかりです。
〈たくさんのボランティアの応援ありがとう〉
当日は、さまざまな場面にボランティアの方々がそろって下さいました。大東コーポレートサービス(株)の山崎亨さんは、SSTの普及活動に、クッキングハウスのガイドブック「元気になれるSST」をたくさん使って下さっています。わたぼうしの倉方さん、相村さん、山田悦子さん、木下さんは今、川崎市幸区で市民提案型事業としてSST講座(7回シリーズ)に取り組んでくれています。文化座友の会からは今井恵子さんが、おいしいケーキを作って来てくれました。
本コーナーには、織座農園の窪川さんと遠藤ゆかりさん、憲法フォークジャンボリーの鈴木善八郎さん、元スタッフの直志美樹さん、小林葉瑠さん。メンタルヘルス市民大学の学生・田中久美子さん。アイムパーソナルカレッジのみなさんは、私の受け持ったカウンセリングの授業で繋がり、チケットもぎりを担当してくださいました。慈恵大学医学部の福田みずきさんは、実習を通してクッキングハウスを知り、手伝いに来てくれました。中村さん、高山さん、山田さん、三好さん、そしてお二人の夫さん達も、ロビーの誘導で活躍。私達に素敵なピアノコンサートを開いて下さる諸隈まりさんの夫さんが、ビデオ記録係。陰アナには、20周年に引き続いて野口美穂さん。斎藤珠恵さん、内田敬子さん、野口慶子さん、正木真理子さんと、頼もしい受付係。木戸さん、田口さんも舞台裏で活躍。夜の交流会の準備には群馬から高石友江さん、家族SSTで学んでいる瀬野さん、研さん。松浦恭大・友朋も、大道具や荷物の運搬、記録係にと裏方を担いました。
私達の活動とつながるたくさんの方々が、気持ち良くそれぞれの役割をこなして下さって、記念コンサートが出来たのです。本当にありがとうございます。
〈リハーサルから力を込めて〉
みんな晴着を着て、緊張と、ときめくような思いと両方混じった気持ちで、いつもよりずっと輝いて見えます。5年前の20周年を祝う会の時から、ずいぶん新しいメンバー達が仲間に入りました。初めての経験なのに、勇気を出して舞台に立ってくれました。
10時過ぎから始まったリハーサル。雑花塾のみなさんの伴奏のアコーディオンやギター、ピアノなどの楽器とうたを合わせていくので、綿密なリハーサルです。とうとう開場時間ギリギリまでかかってしまいましたが、みんなよく耐えてくれました。
もうすぐ、どん帳が上がります。緊張の頂点の時、山本忠生さんが「深呼吸しよう」と体ほぐし。そして、やさしく「 I LOVE YOU ❤ 」と言ってくれ、バンド席に戻りました。
レストランの朝の仕込みの音や野菜を刻む音が流れ、どん帳が上がりました。「風のメッセージ」を会場のみなさんにうたい始めたら、不覚にも涙が出て仕方がないのです。前方のゲスト席で、西野さんと松崎運之助さんは、「あれっ最初から松浦さん、泣いちゃってるよ」と、ささやいていたそうです。一人一人にチケットをお願いし、そのことに応えて来て下さったのだ。師走の忙しい時に、しかも、よりによって総選挙と都知事選の前日になってしまったのに。
とにかく、25周年歩んできました。どうしたら心病む人達と一緒に人間らしく暮らしていけるのだろう。気持ち良く生きていける、やさしい文化をつくっていくこと、学ぶこと、当事者が生きることに誇りを持つこと。そう思いながら、できることを実践してきたのです。いろんなドラマがありました。
「八丈島の海」を何よりのプレゼントにして、2012年11月、天国に旅立った宮島真弓さんのこと。
「お母ちゃん」のうたを聴きに、入院中の病院から、お兄さんの付き添いで来てくれた吉岡豊さんがいました。「幻聴ルーム」を満足して聴いてくれている丸茂さんがいました。すべてのうたが、私達が表現した、私達と共にある、うたなのです。
「自分の思いを自分の言葉で表現してみよう。おそらく日本で初めての当事者のコンサートになる。きっといいコンサートになるよ。」と、うたづくりを教えてくれた笠木透さんと増田康記さん。3年間かけて、本当にその通りになりました。ありがとうございます。これから私達は、自分に自信を持ち、そして仲間を信頼して前向きに生きていけます。
〈のぼりが届いた日〉
夜のスペシャルSSTが終わった後、倉方さんが白いベールを被った姿で「みなさんにプレゼントがあります」と、ピンクのレースにくるんだ長方形の木の箱を抱いて現れました。そして「私はずっとクッキングハウスの活動を見守り続けてきた守護天使です。25周年のお祝いです。」と手渡してくれました。なんだろう?まるで結婚の結納のような華やかな祝い飾りです。開けてみたら、“のぼり”が何と三流(さんながれ)も入っていました。本染めの黄色い地に「おいしいね」から元気になる場クッキングハウスと、とても明るい文字が飛び出してきました。「クッキングハウス25周年看板寄贈プロジェクト」の、朋友たち一同からのプレゼントでした。25周年にちなんで、一口250円でカンパを集めてくれたのです。“30周年の時は一口300円よ”と、もう、打ち上げ交流会で呼びかけをしておりました。ありがとう。 (松浦幸子)
幸 せ な 日だった …メンバーからのレポート…
・ 3年間積み上げてきたものが、できたと思っています。子ども達も孫も、舞台を観てくれました。娘は「あっぱれ!」、姉は「感動したよ。うたも良かったし、幸せな気持ちになったよ。少女のように踊っていたのも良かった。」と言ってくれました。(池田和子)
・ 音響さん、ボランティアさん、スタッフが良く頑張って下さったと思います。「こわい」という気持ちを捨てて空っぽになって舞台に立ちました。祈るような気持ちでうたいました。少しでも役に立てたなら良かったと思います。(岡村陽子)
・ 楽しかったです。今だから言えるけど、一時期CDを聴いて練習するのが負担になったこともありました。けれど、家族も来てくれて、自分の力を出し切れて良かったです。(宮川和子)
・ やりきった、という満足感があります。お客様が温かく見ていて下さったのも嬉しかったです。充実した一日でした。(斎藤敏朗)
・ 本番直前、少し慌ただしかったけど、楽しかったです。椰子の木も良くできていると思いました。友人も「温かさが伝わってきて何度も涙腺が緩みました」と伝えてくれました。(会田美奈子)
・ 滅多に良かったと言わない母が、「感動的な舞台だった。本当に良かったよ。」と喜んでくれたのが嬉しかったです。(根本章子)
・ 楽しかったです。30周年は、お芝居をしたいです。(結城きよみ)
・ すごく緊張したけど、みんなに声を掛けてもらえて嬉しかったです。吉岡さんがステージに出てきた時、泣きそうになりました。笠木さんって素敵だな、とも思いました。みなさんに感謝の気持ちでいっぱいです。(伊藤花菜子)
・ やり抜いたという気持ちが一番。振り返ってみると、病気をしたせいで人生が無くなった気がして、未来がよく見えなかったけど、今回の体験は貴重だったと思います。みんなの歌声が響いているのを感じました。自分では満点な出来栄えです。(山根里子)
・ 初めて舞台に立てて嬉しかったです。両親も来ていて、最後に不思議なレストランをうたった時、父が泣いていました。感動して自分も泣いてしまいました。(大澤有美)
・ 5年前は客席から見ているだけで泣いていました。今回は堂々と前向きに舞台に立てて、自分なりの仕事ができました。本番が不安だったけど、曲を聴いて練習して覚えました。両親も大絶賛。3,000円以上の価値があるコンサートだったと言ってくれました。普段は無口の父が、母に「5年前より成長した」と言ってくれました。嬉しかったです。(江田宏美)
・ リハーサルから泣けてきました。本番も、うたいながら泣きそうになりました。母は「私の壁」が私のことだと言います。手話も良かったし好きなうたになりました。楽しんでうたえました。30周年があるなら、出たいと思います。(青木紀子)
・ 今日を幸せな日だったと覚えておきます。男性陣は普段見ないスーツ姿、女子は皆実に華やかです。私たちもやるときはやるのです。幕が上がったときお客様が喜んでくださること、声を出して応援してくれたのがうれしかったです。みんなで踊り始めたらまた「おお~っ」という声。カメラを撮る人も増えたり、踊っていて楽しかったです。一番リラックスして歌えました。最後の16曲を終えたときは夢のよう。なんだかあっという間だったんです。手を振りながら「夢みたい」と感じていました。楽屋に帰るとき、こういう大きなイベントには初参加の年若いメンバーが感動して泣きじゃくっていたのが微笑ましかった。そばにいるメンバーが「泣きたいときは泣けばいい、そのままのあなたでいいのです」と歌詞から引用して背中をさすってあげてました。私は、「うん、こういうときに歌の言葉があると説得力があって非常によろしい」と大いにうなずいて楽屋に向かいました。 (前沢真貴子・メンバー日記より抜粋)
・ 僕は風邪をひき、途中参加でしたが、舞台に立ち、ライトを浴びてみんなでうたう体験は初めてでとても良い思い出になりました。(高橋亨)
一人ひとりの生きることが輝いた …スタッフからのレポート…
前日、音響・照明・舞台監督総勢7名のコンサートスタッフと雑花塾のみなさんも入り、舞台準備。マイクで皆の声や楽器の音をひろって、ホールに流れる音にすることを、音をつくると言うそう。私達がいくら声を出しても、音響なしには届かない。音は、作品そのもの!歌う人、演奏する人、コンサートスタッフ、みんなの力が合わさって、1つの舞台が出来上がることを、強く思いました。「朋友たち」の皆さんから頂いた吊り看板もセット。大きすぎて、クッキングハウスではとても広げられなかったので、貼ってみて感動♪
さあ幕開け!みんなで歌う曲、少人数での曲、次々に変わる出演者。みんなしっかり出番待ち。前の人を温かく見守りつつ、次の曲に備える姿は真剣そのものでした。
休憩時間には、一気に南の島のムードへ衣装替え、きゃーきゃー言いながら、男性、女性とも華やかに。よーし、思いっきり楽しくやろうという気持ちが盛り上がりました。幕があいた時の、お客様の歓声がうれしく、忘れられません。この三年間、うたづくりに、録音、コンサート、滅多に出来ない体験を、皆ですることができました。ひとりひとり自分のできることで、表現をし続けた三年間。メンバーもスタッフも自分をみせた三年間。表現することで、ひとりひとりの生きることが輝いたと今実感しています。 (林由佳里)
12月に入り、チケットの販売状況は700枚を超えるところまでもう一歩。満席目指して、事務局のクッキングスターは忙しさを増す勢いでした。駆け込み需要に嬉しい悲鳴でした。
およそ600余名の方々に、万障繰り合わせてお越しいただき、客席から応援していただきました。本当にありがとうございました。また、各地から、思いを寄せてくださった皆さまにも感謝申し上げます。
当日、舞台裏は短距離走。司会の松浦さんと斎藤敏朗さんは、客席から向かって左(下手(しもて))の裾に待機していることが多いのですが、うたも歌わなければいけません。ゲストの水野スウさんがお話を始めます。よく見ると、なにやらプレゼントを持っています。「あれ、私に渡してくれるのかしら?じゃあ戻らないとね」と上手(かみて)の松浦さん。下手に向かって私も一緒に廊下を走ります。気が付くと今度は斎藤さんが、上手にいます。あら大変。スウさんの話が終わったら、「紫陽花」の曲紹介をしてもらうのだから、斎藤さんは下手で待機していないと。慌てて裏の廊下を上手に走り「斎藤さ~ん、こっちよ、こっち~!」と背広の腕をつかんで一緒に走り、もう一度取って返して私は上手に。何事も無かったかのように“バラバラで一緒に生きていくのです”と歌い、一部の緞帳が下りました。 (田村陽子)
「心の手当てに」なるような松浦さんや斎藤さん達のおだやかな司会、しっかりと人間と向き合ってきたゲストのこころに響くお話。観客席からの声援や拍手。でも、素人の私達の歌が、観客の方々にどこまで伝わっているのか、最後まで不安がありました。お客さんの「涙がでたよ」の言葉に、メンバー達の発病してからの言葉に尽くせない苦労、そして回復に向かって泣きながら、笑いながらお互いに支え合って生きている日々のくらし、一緒に歩んでいるスタッフの人間としての葛藤や喜び。クッキングハウスでの日々がまるごと、舞台を通じて、観客席に伝わり、感動していただけたように思いました。「歌ったからにはそのように生きなければいけないぞ」、笠木さんが言っていました。25周年も30周年も、日々のくらしの延長線上にあるのだと思います。又、明日から、この場所がすべての人々にとっての本当の「こころの居場所」になるように、一日一日を丁寧に送っていきたいと思いました。 (井出歩)
緊張と不安とワクワクした気持ちが渦巻いてきた、この数カ月。集大成として迎えるはずの前夜、私はリハーサル中に肉離れを起こしました。スポーツをしていた訳でもないのに。ショックは隠せません。なぜこのタイミングで?という悔しい気持ち。でも、病んではいられません。みんなと一緒にぜったい、いい会にしたい。脚は痛みますが、当日の心は温かでした。「障害者」とか「健常者」とか、一般社会の常識という柵を、バーンと取っ払って、生きていることの、今を生き抜くことの強さを、みんながいるから頑張れていることを、たくさんの人に伝えたい。あい子さんに車椅子を押してもらい、舞台そでに向かいました。沸々した気持ちでステージに上がりました。 (有光梨紗)
「ごめんね塩ちゃん」を、晴やかな舞台でスポットライトを浴びながら歌って本当にいいのだろうか?ぐずぐずと悩む私の背中を押してくれたのは、仲間の力でした。会場の皆さんの温かい拍手の中で深々と礼をしながら、この詩に恥じないような生き方をしていこうと、引き締まる思いを抱きました。私の大切な記念日となった一日でした。 (竹内高子)
〈お客さまの声〉
・こんな居場所があるなんて幸せですね。この居場所を作り上げたクッキングハウスに感謝で一杯です。
・幕が上がったと同時に何だか号泣でした。皆、顔をあげて立派でした。
・うたう人も、ピアノの人も、楽器の人も、全体に一体感を感じました。音のアレンジも素晴らしかった。感動して涙が出ました。うたを聴くまでは、どんな感じなのだろう?とイメージが湧かなかったけど、胸の中にスーッと入ってくる、非常にいいうたでした。普段レストランで見かける皆さんが、舞台に立ってすごいなあと思いました。
・みなさんのひたむきさが伝わってきました。アンコールの時、私も隣の人と手をつないで一緒にうたいたかったです。
・素人のみんなが、うたを作ったということに驚きました。どのうたも良くて感動しました。あれだけのものを作るなんて大変だと思います。改めて、みなさんの結束力を感じ素晴らしいと思いました。
・心にしみる温かな空間と満ち足りた思いを本当にありがとう。幸せな気持ちと、こみ上げる気持ちと、やさしい嬉しい時間を共有できたことでしょう。温かく共に過ごさせていただけて、こころの中にみなさんの空気や、協力して作られた夢のような居場所がしっかりと住み着きました。どんなに多くを乗り越え手を取り合い、築かれた時間に、力を頂けたことでしょう。
・出演者のみなさんの明るく一生懸命な姿と清らかな歌声に感動いたしました。歌詞も見ないでよくあれだけの数を歌えるなんて、感心するばかり。司会の男性も、書いたものも持たず堂々としていてお上手でした。みなさんの歌声に癒され、聴きほれている間に、あっという間に時間が過ぎてしまいました。