クッキングハウスからこんにちは No.145

目次(青字の記事を抜粋してあります)2012年8月3日発行


目次
巻頭言:CD録音終了…1、特集…2~4、ボーナス,販売会…4、小谷村…5、金沢,父親学習会,家族SST…6~7、吉本有里さん,キミ子方式,気功教室…8、市民講座…8~9,市民大学…9~10、内部被ばくを生き抜く上映会,精神障害とリハビリテーションに紹介…10、文化学習,公開紹介会…11、賛助会お礼,講演,路地裏,各地からありがとう…12

CD制作 特 集
2ケ月に渡って行った録音の様子をレポートします。メンバー・スタッフ・非常勤スタッフ…立場は様々でも25周年の舞台に向けての意気込みは同じです。CDの完成を心待ちにしながら、練習に励む私達です。

 
〈楽器の録音風景〉

期待と緊張の中で楽器演奏

メンバーの根本さんとスタッフの林さんが弾くウクレレ。有光さんのギター。青木さんのピアノ。これが歌をうたう時の基になっていくのだなと、見ていてもワクワクする収録風景でした。事務局の私は、録音の部屋の手配、急に音の出なくなったシンセサイザー対応、食料買出し、時にはメンバーの送り迎えにと走ります。
一日中、立ち通しで指揮をとる増田康記さんには、そうめんと栄養ドリンク。ゆうたさんはミルク入りコーヒー。雄さんはブラック。佐藤せいごうさんは、3時以降のコーヒーは眠れなくなるのでダメ。吉藤さんの帰りは、高速を徹夜で運転するので、眠気覚ましのアメと飲み物を。鈴木幹夫さんと吉良さんには二次会で楽しんでほしい、と演奏の合間に皆さんの好みを考えて差し入れ。
一日の収録が終わると夜中まで続く反省会。笠木さんと入れ替わりで来てくれた、ちゅうやんこと山本忠生さんの話に笑いころげて一日の疲れを吹き飛ばし、さあ明日も頑張ろうと就寝。
各地から駆けつけてくれたミュージシャンや音響スタッフの方々に、少しでも快適に過ごしていただきたくて、コーヒーメーカーや食料を密かに持ち込んだ、その名も「秘密のレストラン」またの名を「動くクッキングスター」でした。 (田村陽子)

楽器録音!できるまで終われない!!初体験!
 3泊4日の録音。合宿のような雰囲気で、朝から晩まで全国から駆け付けて来てくださった皆さんにお世話になりました。
石川県からの吉藤寛二さんは15周年の「へいなよ」のCDでもピアノで参加して下さいましたが、今回も仕事が終わってから徹夜で車にキーボードを積み、駆け付けて頂きました。そして一日かけて10曲以上をキーボード録音。私達の出来たばかりの曲を次々に弾いて下さいました。途中キーボードの音が出なくなるハプニングもありました。時間が迫って焦る!閉館ギリギリまでねばってようやく録音が終わり、石川県への帰路に…本当に感謝でした。
 私自身もまだ始めたばかりのウクレレを、「クッキングハウスの楽器隊も録音するぞ~!」と仲間に入れて頂き、録音初体験でした。一曲をつくるために、いくつもの楽器を一つ一つ録音していく作業は時間との勝負。ライブや発表会と違うのは、録れるまで終われない、そして作品はずっと残るということでした。これは大変なことだ…しっかりやらなくちゃ!そう思うばっかりに返って気が動転して、楽器のチューニングが全くできなくなってしまい、佐藤せいごうさんに助けて頂いたり…録音スタッフの、ゆうたさん雄さんも、「はい、ここまでもらっちゃいまーす。」と部分部分を切り取りながら、録って下さいました。
増田さんは全ての楽器について演奏方法を指示。身体中でリズムをとりながら、4日間ひと時も現場から離れることなく、録音を進めて下さいました。難しい録音の時は必死で祈るように、息をつめて見守り、録り終わるとみんなの盛大な拍手。演奏するときは誰にも代わってはもらえない一人の世界ですが、それをまわりの人が同じ気持ちで見守っていることがとても温かく感じました。今も聞いてみると、みんな頑張ってる頑張ってる!と、あの時の音がよみがえってきます。   (林由佳里)

応援が、“力”になりました
今年の2月に伴奏の打ち合わせをして、自分が担当するギターの曲が決まって以来、毎日頭のどこかにギターのコードが居座っていました。
よし!ヘタなりに頑張るぞ!と勇んだ3月。25年の重みがズシリときてプレッシャーを感じた4月。思うように弾けない…と落ち込んだ5月。6月の録音本番を迎える頃には、「今の私が私だ!弾けるだけ弾こう、あとはプロフェッショナルな人達が何とかしてくれるに違いない」と半ば開き直っていました。とは言え、前日前夜は緊張のあまり吐き気がして不安で眠れませんでした。録音中は、弾けば弾くほど変に力が入り、弦を押さえる指がジンジン痛み、曲のスピードについていけなくて、もどかしくて辛くて泣きそうでした。脇で、ちゅーやんや皆さんが「頑張れがんばれ」と応援して下さったのに加えて、“風のメッセージ”の時には、ヘッドフォンから聴こえてくる吉良さんのケーナに励まされ、無事録音を終えることが出来ました。
3日振りにレストランに戻った時、人手不足の中頑張ったメンバーの「あっ!有光さん、お帰りなさい!慣れない空間で過ごしてギターも弾いて、大変だったでしょう、お疲れ様ね。」の言葉が、心に沁み入りました。(有光梨紗)


〈うたの録音〉

下手でもいいよ、自分達のうただよ、楽しく歌おう!

当日の待ち合わせ場所には、たくさんのメンバーが、ワクワクした表情で来てくれました。私は、CD録音なんて初めての経験で一体どうなるだろうと心配していましたが、メンバー達に会った途端、「これはいけるかもしれない!」と思いました。スタジオに入ってからも、増田さんや音響さん達がリードしてくれる中、ちょっと緊張しながらも、(休憩時間の時は疲れた様子なのに)マイクの前では楽しそうにノリノリで歌っているメンバー達を見て、ヘッドフォンをつけて見慣れない形のマイクの前で緊張している私は、「下手でもいいよ、自分達の歌だよ、楽しく歌おう!」という気持ちになれました。初めての録音も、みんなでやれば大丈夫なのだな、と思いました。(井出 歩)

感動に満ち溢れた貴重な経験に感謝
メンバーもスタッフも録音に入った時は、プレッシャーと緊張で押しつぶされそうでした。練習で何回も何回も歌っているうちに、本番では、詩に込められた想いと自分の気持ちがつながって、感動して涙が溢れそうになりました。皆でつくって、皆でうたった録音は、プレッシャーや緊張にまさる感動に満ち溢れていました。                                     (高橋明美)
日常の中にある幸せを見つけた
人生も後半生になると、そう刺激的なことも起こらず、何事もなく日常が過ぎていくことが多い中で、ドキドキ緊張してギュ~っと集中して、自分達の作品を作り上げるために仲間との時間を過ごせたことは、とても幸せな経験だったと、今振り返ってつくづく実感しています。脳が活性化して5年は若返ったと思います。茂木健一郎さんのいう「アハ体験」(ひらめきや、気づきの瞬間に、“あっ”と感じる体験)が出来ました。
何度歌い直しがあっても、時間が押せ押せでも、丁寧に私達に付き合って仕事を進めていく音響さん・増田さんに、プロフェッショナルを感じました。                      (竹内高子)

~メンバーの感想から~
・レコーディングを通して、皆と仲良くなれたことが嬉しい(大谷)
・早く全部のうたを覚えたい気持ちです(きよみ)
・緊張しながらも楽しめました。停電になったらできないことです(あい子)
・録音には参加しなかったけど、12月の舞台で自分にも出来ることがあれば参加したいです(工藤)
・増田さん始め、プロのスタッフは凄い!どんな時も落ち着いていました。プロの凄さを実感(石島)
・いつの間にか皆が一つになってうたっていた“古い木のテーブル”に感動しました(池田和子)
・レコーディングを生で見学するのは初めて。とても根気と集中力が必要なんだと感じました(地場)
・みんなで団結しているなあと実感しました。疲れを忘れていられました(会田慧)
・出番の曲の時は尻込みせず声を出して、思い切りうたいました(山根)
・二度とないかもしれない経験をさせてもらって嬉しかったです(大野)
・プロと私達の調和が取れているように感じました(中島)
・ここまでリカバリー出来たのは、うたのお陰。感謝しています(内藤)
・うたの録音最終日、録音のために急きょ駆け付けました。いい思い出です(斎藤)
・楽しかったです。人生で二度と経験できないことだと思います。歌手になった気分です(安高)


家族SST報告 
「ずっとこのままでいいの?」

 当事者の回復までの長いプロセスを見守り、付き合っている間に家族は不安になったり迷ったり「このままでいいの?」と焦ってしまったりします。引きこもっている状態が何年も続いている・意欲が無いようで外に出ようと誘っても出たがらない・すぐに疲れたと言う・対人関係に被害的になりやすく人との付き合いの場に行くとストレスがかかって、しばらく引きこもってしまう・食事の支度や日常の事(洗濯・掃除・買い物)を何もしないで家族に命令する…このような状態が続くと、つい家族は否定的感情が湧いてきて、批判的な言動になってしまいます。「いつまでも親は生きていないのよ」とか「親亡き後、どうするつもりなの」、「早く自立して欲しいわ」など。
 しかし当事者は自分への肯定感が持てずに悩んでいるので、このような否定的感情を向けられることにとても敏感なのです。家族に否定されると、かえって前へ一歩出られない状態になってしまうのです。同じパターンを続けていても仕方ありません。新しい考え方で今までと違う行動をとってみたらどうなるでしょうか?家族SSTで皆で学ぶことの意味がそこにあります。当事者にも家族にも希望の見える学びを探してみましょう。


1 DoよりもBeでありたい (“紅茶の時間”の水野スウさんのメッセージを強く受けて
・何かをすることがいいのではありません。形だけで押し込めても、その人の心が付いて行ってなかったら、寂しい人生です。今ここに一緒に生きていることが素晴らしい、と考えてみましょう
・言葉が沢山になればなる程、温かいメンタルヘルスのシャワーになります
・当事者に、いっぱい、メンタルヘルスのシャワーをかけてあげたいですね

あなたのペースでいいのよ
    帰ってきて顔を見るのが嬉しよ
いっぱい失敗して生きていいんだよ
お母さんのところに生まれてきてくれてありがとう
あなたが笑ったり楽しそうにしている姿を見て幸せになります
かわいい寝顔が励みになるよ
あなたがいてくれて、良かった

2 今、どんな状態なのか、よく見守っていること
   ・その状態をそのまま受け止めること。ちゃんと向き合ってあげること
   ・世間の物差しで見ることは止めましょう
   ・情報に左右されないこと

3 気持ちを語れるチャンスをつくる
  ・あらゆるコミュニケーションには適切な“チャンス(時)”と“場”が必要です
・“私メッセージ”で、家族の気持ちも伝えながら当事者の希望を聞けたらいいですね


生まれてきてくれたこと、今ここに生きていること、その事だけでも奇跡のような凄い事なのだと思います。でも私達は、社会の早い変化や情報や世間体に振り回され、ついBeであることの素晴らしさを忘れてしまいがちです。“DoよりBeであることを大切にしたい”という提案には、沢山の反応がありました。「つい忘れてしまって、成果のあがることをやって欲しいとばかり思っていました。あなたがこうして生きているだけでお母さんは嬉しいと伝えたい」と、深いシェアリングが出来ました。  (松浦幸子) 

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