クッキングハウスからこんにちは No.139

目次(青字の記事を抜粋してあります)2011年8月日発行

目次
巻頭言:上映会のお知らせ・いのちと環境の未来を考える会発足・目次…1、「ミツバチの羽音と地球の回転」上映会、アレクセイと泉、いのちの未来~…2~3、市民大学報告…4~5、動くクッキングハウス…5~6、各所から、文化学習企画、各地からありがとう他・・・6~12

〈市民大学報告〉

〈メンタルヘルス市民大学in小谷村、一泊の旅
~仲間と学び、食べ、遊ぶ、幸せ大学~
メンバー・斎藤敏朗さんのレポートより〉

2011年7月5~6日の2日間、メンタルヘルス市民大学・長野県小谷村での学習会に参加しました。
貸切バスで小谷村に着くと、悠々と流れる姫川。両側にはどこまでも連なる山々。細い山道を登り、バスは伊折集落へと進みます。途中何度も目にする「メンタルヘルス市民大学」の案内看板。その先では小谷村のみなさんが出迎えて下さいました。
参加者35名以上のみなさんと一緒に講座が始まり、「コミュニケーションが良くなると楽になれる」ことを、体験談を通じて発表。不安と恐怖で、一言も声をかけることができなかった苦しい時期にSSTを学び、挨拶の練習から始めたこと。徐々に自分の感情を語ることができるようになったこと。そして不安や気疲れに悩むことが少なくなったことなどを話しました。また、相手の話を傾聴する練習も、実際にやってみるとなかなか難しいです。何度も学び、積み重ねることが大切だと感じました。
講座後は、宿泊先の古民家へ。12部屋もある大きな日本家屋と聞いていましたが、掘り炬燵や、畳敷きの部屋に感動し、2階を歩く足音がみしみしと聞こえます。車の騒音も全くありません。とにかく静かで、風が心地良かったです。
姫川沿いの「下瀬里温泉」での入浴タイムでのんびりすると、体も心から温まって、気分もすっきりです。
夜は、高橋きよみさんご一家のお宅での夕食交流会。見事な土間や梁、畳に襖。広い室内に圧倒されましたが、更に驚いたのはおもてなしのご馳走の数々。一つ一つがすべて手作りで、料理をしてくれたみなさんのメニュー紹介付き。おいしい料理に満足し、会話が弾む頃には一芸披露。クッキングハウス恒例の一芸大会が始まります。高橋亨さん、あい子さんと一緒に早速舞台に上がり、「大きな古時計」を歌いましたが、あい子さんの振り付けが楽しくて、会場がどっと盛り上がりました。更に、順番に楽しい一芸が続きます。みなさんと一緒に笑い合える時間はとても良い思い出となりました。
そして、みんなで見上げた空には満天の星空。色とりどりに煌く星々。あまりの美しさに、しばし時間さえも忘れさせます。2日目。時計を見るとまだ5時過ぎ。外はようやく日が昇り始めた頃です。でも不思議と寝起きの気分は悪くありません。少し体を動かしたくなって、外に散歩に出かけました。伊折集落の朝は半袖では肌寒く、それでもカメラを片手に歩いてみます。
それから、高橋さんご夫婦と一緒に森林セラピーで森へ入りました。木々がおい茂る少し暗い小道を進みます。しばらくしてみんなで輪になり気分調べ。そして、この場所でビニールシートを敷いてから、横になって自然を満喫します。木々が揺れて葉達が奏でる音、小鳥たちがさえずる声、真後ろを流れる小川のせせらぎ。だんだんと自然と一体化して、自分も自然の一部になった気さえしてきます。心も安らいでいます。ずっとこうしていたかったです。
朝食には、集落で焼いておられる土本さんのパンを中心に、いちご、びわ、梅を使った手作りのジャム3種をいただきました。パンは米粉が使われていて、もちもちしていました。焼きたてのトーストはそのまま食べるのとは食感も違い、こちらもおいしかったです。
講座の2日目は、「不安について」がテーマです。1日目と同様に、体験談を発表。クッキングハウスで活動を始めた当初、受け入れてもらえるかどうか、敵視されてしまうのではと不安でいっぱいだったこと。仕事を担当する中で、失敗したらどうしようと苦しかったことを語りました。体験談を語りながら思ったのですが、やはり回復していく上で安心感のプレゼントが大きな力になったことを強く感じました。体験や感想を語り合い、時にはほめ言葉までもらえる安心な居場所では、たくさんの学びがあります。昼食は混ぜごはんにさば缶を使った味噌汁を中心に、お惣菜をいただきました。
この2日間では多くの感動と学びがありました。クッキングハウスの旅行ではいつも感じることですが、良いコミュニケーションを学んで練習した後、即本番がやってきます。学んだのですぐに実行してみよう、という感覚があります。このような経験を積み重ねてきたからこそ、かつては一言でも話すことが恐怖だったのに、いつの間にか会話が楽しくなってきて今の自分があるのでは、と感じています。小谷村のみなさん、一緒に旅をしたみなさんに心から感謝しています。ありがとうございました。



動くクッキングハウスin金沢
<ボランティア養成講座でコミュニケーションの練習>

金沢市泉野のボランティア養成講座コミュニケーションワークショップも3年目となった。待っていてくれる人達が年々増えていくのも嬉しいこと。人とのつながりができてくると、コミュニケーションの学びもレベルアップしてくる。相手の話をよく聴き、自分のところに話す順番が回ってきたら、丁寧に話すということが自然になってきた。当初は円陣に座ることそのものに緊張が走ったものだが、円陣に座ることにグループの安心を感じられるようになってきた。
ウォーミングアップでは、「ここ空いているので、隣に座りませんか」と声をかける練習。SSTでのメンバーの課題で「大勢でおしゃべりしている時、輪に入れず孤立している人がいるのが気になる」から練習したものだったが、ウォーミングアップでとり入れてみたら、グループの緊張がほぐれて、和やかになることを発見した。ボランティア講座も、「声をかけてもらえると、とても嬉しい」とみんなにこやかな表情になった。
 色紙を並べ、好きな色を2枚選び、自分をほめてあげたいことを2つ書く。それをペアになって交換し、相手に心からほめてもらう。自分で書いたものだから、とてもジンとくる。いつも地道にやっていて、誰からもあまり認めてもらえなかったことが表現できた喜びだ。
 自分の不安に思っていることや、つらいことを相手に話し、共感的反応で聴いてもらう練習。ペアに組んだ相手は、聴くことの練習になる。
 ちょっと認知の幅を広げてみたら、どんなに楽になるだろうか、という練習には、「三年峠」の寸劇をやってみた。ずっとこの講座の企画準備をしてきた福森さん。ちょっとだけの説明で、すぐにおじいさん役をこなしてくれる。三年しか生きられない、と思うほうが楽か。三年も生きられる、と考えたほうが楽か。
こんな練習をしていくうちに、ボランティアをしているどんな場面でも、コミュニケーションが大切なことがわかってくる。コミュニケーションの質が高くなると、自分も相手も心が解放されてくることがわかり、希望がみえてくる。最後のシェアリングでは、柔和ないい表情で、「こういう学びはとても気持のいいですね」と語ってくれた。(松浦幸子)
<ともの時間で曼荼羅(まんだら)を~in津幡町>
水野スウさんの「紅茶の時間」から広がった、コミュニケーションを学ぶ「ともの時間」は、10時から4時までの昼食一品持ち寄りパーティー。久しぶりに会うなつかしい人達。会う度に慈悲深い表情になっている、富山の「ほっころーん」のメンバー達。
10年前の大雪の日。富山に向かう「はくたか」が雪原の中で立ち往生し、5時間も到着が遅れたのに、重度の障害を持って生まれた悠衣ちゃんを囲みながら、語り合い、私を待ち続けていてくれたのです。その時、誰も帰らずに語り合えたことから、小さな会が誕生しました。「ほっころーん」です。
私は震える寒さの中で、あたたかい輪の人達に、「よく来てくれました」と迎えていただきました。遅れて申し訳ない、と思っている私に、「遅れて来てくれてありがとう」と迎えてもらったあの日のことは忘れられません。
悠衣ちゃんはあれから、みんなのあたたかい見守りの中で成長し、20才の誕生日を迎えました。絵本「悠衣」(絵・文:ひらたひさこ)は、悠衣ちゃんのお母さん、北嶋真由美さんの歩んできた人生と、心の成長を描いています。「安心して悠衣の命を預けられない、と思い込んでいた。自分が相手に委ねることができないだけだった。悠衣の生きる力も信じきれていなかった」と気づいた真由美さんは、悠衣ちゃんを入院させることができたのです。久しぶりに会った真由美さんは、美しく輝いていました。「入院して、私から離れ、たくさんの人のサポートで、悠衣の生きる力がぐんぐんでてきたのです」と語ってくれました。私も安心して、一人の素敵な女性、真由美さんと話ができました。      
「ほっころーん」のメンバー達は、水野スウさんの応援で、互いの抱える問題に共感して、一緒に考えることを学びあっています。素晴らしい富山の女性達のことを思うと、喜びが湧きあがってきます。
「娘が、体調も心も具合が悪くなり、里帰りしてくる。どう迎えたらいいだろうか。このことで楽になれないと私は帰れない。」とつらそうに語るお母さんに、増野肇先生のサイコドラマで学んだ曼荼羅(マンダラ)をやりました。「ほっころーん」のみなさんがいてくれたので、あたたかい曼荼羅ができました。未来の自分が、「私、とっても忙しくて、張り切って働いているのよ」と声をかけてくれると、喜びの涙があふれてきたのです。「ああ、よかった。明日、娘が来たら、にっこり迎えて抱きしめてあげられます」と、お母さんは帰っていきました。(松浦幸子)

〈各所からレポート〉

〈夏のレストランにぜひいらしていください!!〉
クッキングハウスを応援してくださる方々からの、新鮮な野菜をたくさん使わせていただきながら、みんなで心をこめてからだにやさしくて、元気になれるランチを作っています。魚や肉の梅酒煮や味噌漬け焼き、蒸しなすの梅味噌がけ、すりごまたっぷりのきゅうりのナムル、さつまいもと切り昆布の煮物等、すべて手づくり。玄米と一緒に梅や味噌、ゴマや海藻類をたくさん使うようにしています。「おいしかった!」と満足そうなお客様の笑顔で、私たちも元気になれます。ぜひ、夏のレストランにご来店ください。(井出歩)

〈最近のスターの様子~人気の夢tomo喫茶〉
 最近のクッキングスターは、木曜日と金曜日の夜の夢tomo喫茶が人気!スタッフがミーティングやハッピーアワーでいないことの多い時間帯ですが、メンバーが集って、一杯100円のお茶を飲みながら、語り合ったり、トランプをしたり。セルフヘルプの良い時間になっています。
また夏にぴったりのスターでのヒットメニューは「鶏手羽元のお酢煮」です。これは、石川県の講座から戻った松浦さんのお土産話の中で、「水野スウさんの一品持ち寄りのお昼がとってもおいしかったのよ。鶏肉のお酢煮は、すぐできるからやりましょう。」と早速作ってみることになったもの。材料をそろえ、松浦さんが調味料を入れていくお鍋をみんなでのぞき込みます。酢と醤油を同量ずつ、お水をその半分、お砂糖はお好みでというシンプルレシピ。みんなからも大好評!「おいしかった。家でもやってみる」「スターの定番になりそう」と盛り上がりました。(林由佳里)


〈ギフトのクッキーが大好評~ティールームのみんなで頑張って作っています〉
 国産の厳選された材料を使って、丁寧に手作りしているクッキングハウスのお菓子。納品先も去年より増えました。そんな中、ある地元の企業からギフトのご注文。福祉センターに置いてあるクッキーが、「とてもおいしくて、これならお客様のギフトに使える。」ということでした。皆で大感激、やる気がわいてきました。
 日替わりで作るケーキも、メンバーから「これを作りたい。」と提案も増え、バリエーションも豊富に。厨房仕事だけでなく、クッキーの袋のシール貼りなどの地道な作業を一生懸命やってくれる人、メール便の仕事をきっちりこなしてくれている人、洗い物やお掃除をしてくれる人。自分のペースを大事に、体調に合わせそれぞれ一日をすごしています。おいしいお茶を入れて喫茶も営業しています。ご来店お待ちしております。(直志美樹)

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