クッキングハウスからこんにちは No.124

目次(青字の記事を抜粋してあります)2009年2月2日発行

目次
巻頭言:よいことはカタツムリの速度・目次・夢tomo…1〜2、動くクッキングハウス・・・2〜4、
レポート:メンタルヘルス報告・諸隈さん・本間さん音楽会・自立支援法学習会・・・4〜6、
トピックス:文化座芸術祭大賞・ほめシャワー・報告集・SSTガイド4刷・・・6〜7、
文化学習企画:父親の学びの会・将来を考える会・楽健法・笠木透コンサート・SST・レストラン企画等・・・7〜10、講演スケジュール・各地からありがとう・賛助会お礼・お知らせ・・・11〜12

〜当事者会「夢tomo」の理念づくり〜
自分たちで考える
〜こんな会にしていきたい〜

「夢tomo」のtomoは、“友だち”“共に”“明日(tomorrow)”の意味をこめています。当事者としての横のつながりを大切にしたい、自分たちからいろいろことを発信できる力のある当事者会にしたい。クッキングハウスの中だけでなく、同じ気持ちで地域に暮らす人たちとつながりあえるような会にしたい、と考えています。

 今は、毎月みんなで集まって理念づくりをしています。たとえば
@ 未来は自分たちで選ぶ・・・人生の主人公は私です。人任せにしないで、自分自身で決めることを大切にしたい。

A 仲間同士で助け合う・・・自分のできることは自分でやりながら、できないことを他の人に助けてもらう。「自立しながらも助け合える関係」でいたい。

B 共有しながら・・・体調のいい日、悪い日がある。そのことをお互いに認めあうこと。

 こんな会にしていきたいです。まだまだ理念づくりも途中の段階ですが、みんなで協力し合って考え、すすめていきたいです。(小関貴雄)

<動くクッキングハウスIn新潟県 関川村>
 
〜介護者のためのコミュニケーション講座〜
ふあっと心がいやされていった

テーマは、「介護を楽にするコミュニケーションと問題解決方法〜介護する人もされる人も元気になるために〜」。困難さを抱えて生きている誰にでもSSTは喜ばれ、役に立つことがわかって、充実した学びになった。

 新潟県関川村の人口は、6900人。そのうち村の高齢者は2500人を超えており、380人が介護認定を受けているという。これが今の全国の村々の実態なのだろう。研修会に参加された家族の介護者も、30歳代〜80歳代と幅広い。

 それぞれが、毎日介護に格闘しているのだ。お互いの苦労を共有しあい、ほっとする雰囲気をつくりたいと、座敷に座布団を敷いて円陣に座っている45名の一人ひとりが、「自分自身をほめる」ことから始めた。

「介護は大変。でも我慢して、介護が自分の仕事と思ってやっている自分」
「妹を介護している。おおらかに、くよくよ気にしないようにしている」
「認知症のおばあちゃんが洗った食器に“ありがとう”と言って、また洗いなおす自分」「小さいことを喜べる」
「苦しいことも笑いに変えることができた」
「なるようにしかならないと、気持ちを切り替えられたところ」など。
 椅子ではないので動きが取りにくいかと心配したが、かえって親密度が高まり、リラックスできる安全な場になった。

 次々と村の方言で語る人たちの、自分をほめる言葉があたたかくて、聞いているとふあっと心がいやされてくる。考え方を切り替えることもできているし、自分の置かれた状況を素直に受け入れて、介護している表情が穏やかで、しかもたくましい。

 自分をほめたあとは、相手のいいところを見つけてほめる練習。「ほめ言葉のシャワー」を隣に座っている2人でペアになり、5つずつほめ言葉をかけあう。
 3つ目は、「プレゼントゲーム」。相手のいいところを1つ明るくほめて、想像上のプレゼントをする。これも心配することはなく、夢のいっぱい詰まったプレゼントが次々と贈られる。

 「2週間分の世界旅行」
 「夢の詰まった風船」
 「ちちんぷいぷいで、膝が治る魔法」
 「らくらくシューズ」
 「時間が延びるスイッチ」
 「夫婦若返り券」などなど。
 現実的なプレゼントは、「ガソリン券」「ゆうむ(村の温泉)入浴券」「お餅券」「宝くじ券」や「カラオケ券」もあがり、村の生活が垣間見える。

 昼食会のあとは、自分の気持ちを伝える練習。出てくる課題は、排泄にからむことが実に多い。おむつを外して隠したり、部屋中を汚したり、それが繰り返されると、かつて何でも仕事をこなし気丈な母だったのになぜ・・・と失望と怒りが湧いてくる。介護者の気持ちを受け止めながら、ちょっと感情の距離を置いて、やさしい言葉で「トントン(ドアをノックして)、失礼します。今、お風呂が沸いているから一緒に入りましょう」と言葉をかけるロールプレイ。懸命に向き合って生きている姿が伝わり、練習のよかったところをほめながら、ほろっと涙する人が多い。

 他の課題では、「義母に批判ばかりしている自分の態度を変えたい」ということ。ウソばかりつく母に腹を立ててしまうといった自動思考を変えるチャンスだから、母の良いところを見つけてみましょう。「そういえば、母はご飯を食べたあとに『ありがとう』と言ってくれます」早速ロールプレイで食事の場面。

 母役「ごちそう作ってくれて、ありがとう」主役「ありがとう。そう言ってもらって嬉しい」。なぜか素直に「ありがとう」と母に返すことができて、感動の場面になった。現実の果てしない介護の場面から出てくる課題だから、参加者のみんなが「私も同じ状況で、同じ気持ちです」と深くうなずきあう。

 ワークショップをやっているうちに、あたたかな方言にいやされ、みなさんの苦労のにじんだ表情に感動し、私自身がたくさん元気をもらっていた。たくましく、しなやかな人たちに出会えてよかった。
・ 楽になった
・ 一日がすごく楽しかった
・ 自分だけじゃない、安心した
・ 優しい気持で介護できそう
・ ひとりじゃない
・ 声をかけあいましょう
・ 仲間のいることがわかった
・ 前向きに介護を考えていけそう
とシェアリングの時の表情が優しい。
 きっとみなさんが、希望も語り合えるいい介護仲間になっていくことだろう。また学び合いたい。(松浦幸子)

市民も家族もメンバーも一緒に学びました!
「将来を考える会」で自立支援法学習会

1月22日(水)、調布市障害福祉課の山本課長を迎えての学習会。遠くは、滋賀県から参加してくださった小野さん、ご家族の岩城さんや高瀬さん、鈴木さん、赤ちゃん連れの市民・荻野さん、ルーテル学院大学院の実習生など、たくさんのかたが参加してくださいました。

 メンバーの小関さんから「夢tomo」の理念づくりの様子も紹介し、いよいよ学習会です。自立支援法の下の事業所になったら、どんなことがどうかわるのか、メリットやデメリットも教えてほしいと、先月から質問事項を考え、出し合っていた私たち。メンバーの一番の関心は、利用料や交通費のこと。応益負担になることは、どれほど生活の負担になるのだろう、今までのようにクッキングハウスに通えるかしら?運営面は大丈夫?と心配が山積しています。メンバーにとってもスタッフにとっても、切実な問題です。メンバーからは、活発に質問が飛び出します。
 
Q 利用料はいくら払うのですか?
A非課税世帯はかかりません(調布市の場合)。自治体によって多少違いがあります。

Q 世帯の収入によって金額が違うの?
A 住民票上の世帯という考えから、当事者、あるいは夫婦の単位に世帯が見直されました。

Q交通費は出ますか?
A 交通費の公費助成はありませんから、各事業所の考えで決めてください。

Q受給者証が必要ですか?
A 医療とは別の受給者証が必要です。事業所と契約することになるので、利用者は認定してもらう必要があります。

 2005年に、どさくさ紛れに成立してしまった自立支援法。でも3年が経ち、「世帯」の考え方などが少し見直されたこともわかりました。私たちの生活のしづらさは、『症状がゆれる障害』なので毎日通えなかったり、ゆっくり休んだりすることが必要です。そういったことも、ざっくばらんに話せました。また、当事者自身のことばで発信したり、市民と共に学んだりしている日頃の活動を、行政のかたに見ていただけたことも良かったと思います。山本課長は、「いつでも説明に来ますよ。呼んでください」と、気さくに言ってくださいました。「たとえ利用料がかかっても、クッキングハウスがないと私はやっていけないので、申請します」と、木村早苗さんがきっぱり語ってくれました。困難なことも多いけれど、明日からまた一緒にやっていこうと元気を分かち合いました。(田村陽子)


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