秋は、講演会シーズンでもあり忙しい日々が続いている。本作りの原稿を書き直したり、ページ数を減らすために削ったりの作業を抱えながら、各地でメンタルヘルスの活動に生き生き取り組んでいる人たちに会いに行く。
軽井沢町では、当事者、家族、ボランティア、保健師さん達とのSSTの連続3回講座。段々とコミュニケーションの練習になじんできて、笑顔で迎えてくれる。私にとってのSSTは、「素敵に、幸せに、病気と闘っている」の頭文字ですと、明るくユーモアで語る岡田さん。気持ちが前向きになっていく変化に付き合えることが嬉しい。
新潟県三条市“ふきのとう”の会は、心の居場所を開いて7周年。7年も心ある人たちの活動が続いてきたことは、本当に嬉しいこと。しかもクッキングハウスをモデルにしてくれていたなんて。関川村「ままや」のみなさん、吉岡豊さん、有光さんも一緒にみんなでお祝い講演。交流会では、吉岡さんと平山さんが“うつ病ズ”コンビになり、会場を和ませてくれた。代表の小林久美さんも、変わらず生き生きと動き回っていた。
初めての地、宮崎県宮崎市にはNPO法人「もやいの会」が誕生し、病院ではなく地域で暮らそうよと、呼びかけ始めたところ。長期入院者が多く、ようやく退院促進の波がきた地でもある。東国原知事さんにも、メンタルヘルスの向上が文化度をアップすることを伝えたいと思った。当事者も家族も市民も、地域で当たり前に暮らすことを求めていたのだろう。一人で3〜4冊まとめて本を買って下さり、私はサインで嬉しい悲鳴。140名の参加者で、45冊も売れた最高記録。“本当によく来てくれました”と、握手をして下さる皆さんの笑顔が忘れられない。
愛知県尾張一宮市。昨年、土田さん母娘が一宮にも心の居場所がほしいと悲願し、初めて手探りで講演会を開いた。今年は、2回目で輪が広がり、会場も会議室から小ホールと大きくなる。引きこもり青年たちの活動の会も共催で、一宮でメンタルヘルスの活動をしている人たちも紹介され、土田さんが蒔いた種がちゃんと芽を出したなと、手応えを感じる。“八丈富士”を歌って下さいと、土田さんからリクエストがある。当事者であるケイ子さんが、一番待っていてくれた様子。舞台に上がってもらい、一緒に“不思議なレストラン”と“八丈富士”をうたう。土田さんはCDブックス『へいなよ』見て、手話も覚えてくれていた。それにしても講演の内容に「歌をうたって」とリクエストされたのは、初めてである。
9月30日は、埼玉県毛呂山町。町の精神保健福祉ボランティアの会「もこもこ」は、月に一回、福祉センターで活動し、4年になる。毎年メンバーと一緒に講演に行く度に参加者が増え、地道に町の理解を広げている。石田佳代さんも口コミでクッキングハウスの活動を伝え、紹介会やメンタルヘルス講座に友人を誘って来てくれている。今回は、斉藤君が仕事に就くようになって苦労している毎日をしっかり語り、「成長したね」と、皆さんが我が息子のように嬉しそう。木村早苗さんも、回復してきたプロセスをわかりやすい言葉で明るく語ってくれ好評。
10月5日は、新潟県聖籠町。家族会の研修会に「心の病気の回復につながるコミュニケーション〜楽しく学んで人と良い関係に〜」というテーマで、200名の家族のみなさんとコミュニケーションの練習をしながらの講演。舞台の最前列に座っているスーツ姿の男性たちに、次々に舞台に上がってもらい、“私メッセージ”と“あなたメッセージ”“相手をほめる”“共感的反応の表わし方”をデモンストレーション。恥ずかしそうに汗を拭きながら協力してくれる姿に、会場も笑いがおきリラックスした雰囲気になる。何とスーツ姿の男性は、皆、議員さんだったとのこと。保健師さんが「家族研修会というと、いつも固い雰囲気だったのに、こんなに楽しくて明るかったのは初めてです」と喜んでくれた。本もよく売れた。「コミュニケーションが回復に役立つと勉強できて目からウロコでした」と、家族の方が感想を語ってくれた。家族も学ぶチャンスがまだ少なかったのだと、改めて伝えていく大切さを思った。
10月11日は、アイムパーソナルカレッジ、カウンセリング科の毎年恒例3回の授業が終了。アイムは、女性たちの自立のための学校。前向きに、自己実現したいと入学してくるので、とても活発。クッキングハウスも必ず見学して、いいレポートを書いてくれる。1回3時間を、どう密度濃い授業にしていくか、私も毎回研究し、集中する。メンタルヘルスの仕事につながる人が増えていくことを願っている。
こうやって各地に出かけ、地域で人間らしく生きたいと活動している人たちと会うことで、私もたくさんの元気と勇気をもらっている。東京の小さな居場所が灯として思ってもらえているのなら、また気を取り直して明るく粘り強くやっていこうと思うのだ。(松浦幸子)
10月3日と4日、レストランやクッキングスターで野菜を購入している織座農園に、一泊二日の研修旅行に行ってきました。織座は、無農薬で化学肥料も使わずに野菜を作っています。どんなふうに野菜が作られているのか、また織座の方たちと交流するのも旅の楽しみです。
朝早くの出発なのに、豊さんが見送りにきてくれ、「行ってきます」と元気に手を振り出発です。歌あり笑いあり、クッキングハウスのバスの旅は、いつもあっという間に時間が過ぎていきます。きよみさんの18番「イモ食えば」(ジングルベルの替え歌)には、運転手さんも思わず笑っていました。池田明弘さんの名司会も復活です。
織座農園近くで窪川さんと合流し、白駒池散策したり八峰の湯で温泉に浸かり、ゆっくりしたり、長野県の自然を堪能しました。白駒池散策の途中、東屋でティータイムできるようにと、窪川さんは手作りスコーンと有機栽培のコーヒーを持ってきてくださいました。私達をあたたかく迎えてくださる気持ちが、心に染みてきてとても嬉しかったです。
今回の旅行の目玉の一つ、安全で新鮮な織座の野菜料理は、肉が大好きなメンバーたちも「これなら肉なしでも生きていけると思えるくらい、とても野菜が美味しい!」と絶賛です。クッキングハウスは「おいしいねから元気になる場」ですが、織座農園は「野菜づくしで元気になる場」ですね。ズッキーニのはさみフライ(豆腐と大根としいたけがはさんでありました)、小芋(ジャガイモ)の甘辛煮、かぼちゃの煮つけ、かぶ菜と油揚げの煮びたし、ブロッコリー&カリフラワーのゴマ味噌ドレッシング和え、ルッコラとトマトのサラダ、有機納豆、野菜カレー・・・「野菜嫌いの子どもも、織座に来ると野菜を喜んで食べる」という話もうなずけます。体の中がどんどんキレイになっていく感じがしました。
食後は恒例の交流会。農園を始めて今に至る窪川さんのお話をまず伺いました。「オリザ」とは稲の学名だそうです。人と人、人と自然、それぞれを「織りなす」という思いを込めて「織」の字をあてたのだとか。能率とか効率とかにとらわれず、本来備わっている自然の力を活かしていく農業。大地と水と地球と人と、同じように大切にしている窪川さんは凛として筋が通っていて、とてもカッコいいです。若いスタッフの方々が、その意志を継ぐべく、共に働く姿も頼もしく眩しく感じました。
翌日は晴れて、浅間山を見渡せる雄大な農場の景色に圧倒されました。別の畑では収穫間近の大根が鹿に食い荒らされていました。「しかたないわね。」と笑顔で受け止める窪川さんの姿に、自然の素晴しさと同時に厳しさも感じました。だからこそ収穫の喜びと感謝は格別なんですね。私達も芽キャベツを収穫し、その思いの一端を味わいました。
織座農園の取り組みや理念は、クッキングハウスの活動に共通する部分が多く、勇気づけられます。生産者である織座農園の方々と、消費者の私達が「織りなし」て交流を深められた喜びは、今後のレストラン活動の大きな活力になっています。そんな旅を皆で一緒に共有できたことが嬉しいです。皆さんにあたたかく迎えていただいたことに感謝しつつ、帰路につきました。(竹内高子)
織座農園の旅
1日目、朝8時50分に市役所の裏に集合して、バスに乗って行きました。バスの中で、歌をうたいました。楽しかったです。私は、「イモ食えば」を歌いました。2回歌いました。歌っていると談合坂に着き、次の双葉のパーキングでお昼を食べました。もって行ったおにぎりを食べました。バスの中で歌うのは、とても楽しかったです。斉藤さんがいれば、「大きな古時計」の替え歌を歌ってくれたのに、吉岡君がいれば、下品な歌もうたってくれるだろうと、残念でした。
白駒池へも行きました。途中で窪川さんと一緒におやつを食べて、八峰の湯に行きました。気持ちよかったです。それからバスで織座に行きました。夕食のじゃが芋の甘辛煮がおいしかったです。一芸大会もありました。松浦さんがいればもっと楽しかったのにね。田村さんのビールを半分もらい、おいしかった、最高にうまかったです。夜は、眠れなくて布団の中でごろごろとしていました。旅行の時は、いつもそうです。
2日目の朝は、早苗さんがコーヒーを入れてくれました。おいしかったです。みんなと一緒に飲みました。朝ごはんの前に、みんなでトランプもしました。畑に行って、芽キャベツもとりました。お昼の野菜カレーもおいしかったです。帰りのバスの中も歌いながら過ごしました。バスの席は、行きは由佳里さんと座り、帰りは田村さんと座りました。今度は、必ず松浦さんと行きたいです。お土産も買いました。野菜を作るが大変だなと思いました。また行きたいです。(結城きよみ)
〜織座農園の旅文集を乞うご期待〜
9月16日に開催されたコミュニケーション講座の報告です。松浦さんのアシスタントとして参加し、「怒りのコントロール」をテーマに25名の方々と共に学び合える会でした。「“怒り”は、決して悪いことではない。人間らしい自然な感情です。自分や相手のことを怒りによって傷つけるのではなく、自分の感情をひと呼吸おいて理解して、相手に伝えていくことが大事なのです」という松浦さんの言葉に、参加者のみなさんの緊張もほぐれていきました。
「怒りが湧いてきた時、息を吸いながらこぶしを握り、握ったこぶしをほぐしながら息を吐く。それが怒りのコントロールの極意。夫婦円満の秘訣と感じました」「SST講座を通して理論を学んでみて、理論があるから感情も整頓できるとわかりました」と、参加者の方達が感想を語られたように、怒りを否定しないで、「私たちの感情のひとつ」として受けとめることが、人とのコミュニケーションをより良いものに変えていくのだとわかりました。
講座を通して、「新しい考え方」を知り、人と関わりあいながら暮らして生きていくために必要なことを毎回たくさん学んでいます。丸一日かけて、じっくりと学びあう姿勢が身についていきます。円陣になってお互いの顔を見合いながら、気分調べやロールプレイを通して、そこに参加する人同士の連帯感も育っています。次回がとても楽しみです。(有光梨紗)