クッキングハウスからこんにちは No.112

目次(青字の記事を抜粋してあります)2007年2月5日発行

目次
巻頭言 困難を切り拓く勇気の湧く会にしたい・目次…1、動くクッキングハウススペシャルレポート・・・2、
賛助会のご協力ありがとうございます・レポート お父さんも学びましょう…5、 
私達も作曲できる…7、身体も元気に健康教室・メンタルヘルス市民講座・・・9、
イベント・文化学習企画 レストランで平和ランチとコンサート・ユネスコ2007ランウォーク&コンサートin河津・・・10〜11、
松浦幸子講演スケジュール・各地からありがとう…11〜12


<動くクッキングハウス スペシャルレポート>
〜ハンガリー ブダペシュト  キミコ方式スケッチツアー〜    

 毎年、松本キミコさんとキミコ方式の仲間達と一緒に世界遺産をスケッチする旅に出かけている。2006年の暮れから2007年正月にかけて、ハンガリーのブダペシュト(ブタペストではないそうです)に、15時間半の飛行機の旅をした。とにかく寒くて木々には氷の白い花が一面に咲いている。ドナウ川からは一日中冷たい白い霧が舞いあがり、“青きドナウ”のうたのような晴れ間はない。スケッチしていてもすぐに手や指がしびれてきて、長い間は立っていられない。だからなおのこと、春になったら木々の緑が芽吹き、花が咲き、ドナウ川もどんなにきれいだろうと想像して楽しむことができる。建物がすばらしい。中世のままを丁寧に修復して使っている。美術館もカフェも落ち着いていて静かでとてもいい。美しい音楽が建物に調和している。


<ガイドのアンナさん>

 いいガイドさんがついてくれると、充実した旅になる。アンナさんは、50代。お父さんが大使館員で、日本に駐在していたことがあり、小学校1年から5年生まで東京で暮らしたという。お父さんの方針で、日本の公立小学校に入り同じ給食を食べ、日本の子ども達ととても楽しい子ども時代を過ごしたという。そのことを美しい日本語で、目を輝かせて語ってくれた。アンナさんは、絵が好きで絵描きになりたかったが、夫が彫刻家だったので2人が芸術家では食べていけないと諦めたのだという。

 私たちがスケッチブックとドローイングペンをプレゼントし、「スケッチもするガイドさんになってください」と言うと、とても嬉しそうにスケッチブックを胸に抱きしめていた。

 アンナさんは、ブダペシュト商科大学の貿易学部東洋語科の先生もしている。建築物、美術、音楽に詳しく、情熱をこめて話してくれるので、私もハンガリーがだんだん好きになってきた。「ハンガリー人は、元々はアジアからの遊牧民なのです。だからハンガリー人の心には、アジアのスピリットがあるのです」という。建物の中の壁模様や色合いに、確かにアジアを感じることができる。だからますます親近感が湧いてくる。私たちは、本屋さんやレコード屋さんもアンナさんに案内してもらうことができた。絵本もハンガリー語で読んでもらい、テープに録音し保育園の子どもたちに聞かせると喜んでいる仲間もいる。


<マチャーシー教会>

 アジアの雰囲気いっぱいのマチャーシー教会は、アースカラーの壁模様が石を描いたとは思えないくらい柔らかい。敵が攻めてきた時、(当時は、ドイツやソ連)ステンドグラスを外し、地下に保存しておいたので、今も残っているという。文化遺産を守り抜くための工夫が並大抵のことではなかったのだ。

 心が平安になり、ずっと座っていたくなる温かさに魅せられ、私はこの教会に4回も行ってしまった。1回目は、アンナさんに案内しもらってみんなで入り、2回目は夜のコンサートのチケットが取れて、寒い中30分も並んで一番前の席に。パイプオルガンの響き、バイオリン、歌声、高らかに響き渡り圧倒された。3回目はひとりでスケッチをし、4回目は2人の仲間を誘ってまたスケッチに行った。


<毎朝の温泉ツアー>

 ハンガリーには、温泉がいくつもある。とにかく寒さを温泉で緩めようと、毎朝6時には温泉ツアーに出かける。外はまだ真っ暗。雪が、掃き清めたように地面を白くしている中を出発。とてもすがすがしい。温泉は、水着を着て入る。36℃や38℃の湯とハーブの香りのサウナ、水風呂、プールがついていて、身体の健康のためによいという構造。地元の人がよく行くという木のサウナには、みんな座って楽しげにおしゃべりしている中に、小柄なアジア人の私たちが混ぜてもらう。言葉は通じないが、とてもあたたかい笑顔で仲間に入れてくれた。



<絵のような村ホッローク村>



 ホッローク村は、世界遺産になっている人口400人の小さな村。村の地図は、一軒一軒が木で作られている。ロシア民話「大きなカブ」に出てくるくような、赤い頬っぺ、スカーフ、ふわっとしたスカート、丸く膨らんだ袖口の服を着たおばあさんが、にこにこと嬉しそうにアンナさんと抱き合い語っている。

 古い井戸がある。この井戸の周りが村人たちのコミュニティであり、若者たちのデートの場でもあったという。村の小さな木の教会や木造の可愛い家をスケッチしていると、たちまち寒くなり、村のレストランへ。大きなつぼに入ってきたパプリカのスープは、サワークリームやじゃが芋や牛肉がたっぷりで、温まり美味しかった。

 自給自足の村では、りんごの頬っぺのよく太った娘が働き者の嫁さんになると重宝されたので、ふっくら見えるブラウスを着て、スカートもペチコートを10枚位はき、ぷっくりと健康的に見えるように着飾ったという話がおもしろい。今の日本のダイエット志向の考えと較べると、いろいろ考えさせられた。


<2007年ニューイヤーを迎える>

 ホテルで年越しパーティー。女性の黒のカクテルドレスがそれぞれ圧倒的でかっこいい。男性の蝶ネクタイのスーツも素晴らしい。私たちアジア人は、黒の似合う人たちにはどうしても圧倒されてしまうな、と思いながらもみんなおしゃれをして楽しくパーティーに参加。カウントダウンの時になると、舞台のバンド演奏は国歌に変り、人びとが自然と立ち上がり、誇らしげに歌いだす。意味はわからないが、国の独立を高らかにうたっているのだろう。感動して聴いていた。うたい終わると、新しい年2007年になり、みんなハグし合ったり、キスをしたり。私たちもそうしましょうと、ハグをし合った。そして新しい年のそれぞれの夢を語り合った。私は「クッキングハウスが20周年を迎える年です。お祝い会をします。800席を超える大きな晴れ舞台です。いい会にして、みんな元気になりたい。ぜひとも来てください」と話していた。(松浦幸子)




お父さんも学びましょう
〜第2回父親教室〜
 

 1回めに参加されたお父さん一人ひとりに電話でぜひとも2回目も、とお誘いする。どの方も快く電話に出て下さり、次回の案内を待っていてくれたことが伝わってきて嬉しかった。会場のティールームでは、お父さん達が喜んでくれるおやつは何がいいだろうと思案し、コーヒーゼリーとマカロンのケーキを作る。スターでも夕食会に残ってくれたお父さんには、ビールをサービスし、くつろいでもらおうと準備。

 いよいよ当日。下のほうで声がするので降りてみると、家族SSTに参加しているお母さん達が、必死でお父さんを誘って会場に連れて(?)来ていた。お母さん達にはここで別れて、スターでメンバー達と交流会をしてもらった。お父さんは、19名の参加。どのかたも自分の子どもの病気に直面し、どう受け止めて理解したらいいのか逃げないで向き合おうとしておられる。子どものつらさにどう寄り添ってあげたらいいのか、お母さんの負担を軽くしてあげるには、どうしたら良いのか心を痛め悩んでおられることがよく伝わってきた。一人ひとりの話に共感を寄せてうなずいていらっしゃる増野先生に、お父さん達も安心した様子で語った。増野先生も、すぐに的確な答えをして下さる。


・ 安心感を贈り続けること、安心するだけでドーパミンの量が下がり薬も少なくてすむ。
・ 子どもの状態をよく観察すること。本人が今何を求めているか、どうしていたいのか、どんな状態なのかをよくみること。
・ 待つ必要がある時は、じっくり待ってあげること。新しい提案をいくらしてもダメで、不安な状態の時もある。
・ 親が窓を見つけてあげること。子どもが関心を持っていたり、好きだと思っている世界を見つけてそこから先ず付き合ってあげることだ。
・ いい治療者に出会うことやボランティアに出会うこと。

 
 このように一人ひとりのお話に答える形で父親のサポートのキーワードをわかりやすく話して下さった。
 夕食会に残ってくれた増野先生とお父さん達も、ビールを飲みながら楽しそう。私たちもチャームポイントで自己紹介したり、不思議なレストランをうたったりして歓迎した。こんな学びと交流会のチャンスをこれからもつくっていきたい。


〜当日のアンケートより〜

* 父親として、同じような問題を抱えているのだなと感じました。これからは、息子に対して、どのような接し方があるのか学びたいと思います。
* 草むらをみつけ、あせらず、安心感を与えるような家族でいたい。
* 仕事の曜日を変更して、家族SSTにも参加できればと思います。
* 多くの方々が、このようなチャンスに接することができるように更に開いて頂きたい。
* 家族それぞれに、うまくストレスを解消しながらやっていきたいと考えます。
* 先生のお話、お父様方の話に勇気付けられました。妻とのコミュニケーションも上手くいっているので、二人三脚で希望をもって頑張ります。
* クッキングハウスのいろいろなイベントにも参加したいと思います。(松浦幸子)

メンタルヘルス市民講座
〜キーワードは環境力〜

1月30日(火)より6回シリーズで新春の講座がスタート。遠くは北海道からも。1回目は「病気のつらさ・生活のしづらさ」というタイトルで、病気や障害があっても前向きに夢や希望に向かって生きていきたい。病気のつらさと、そこから来る生活のしづらさの原因を学んで理解できれば、今の自分を肯定し、しっかり受け止めて、隠さず堂々と生きていくことができる。

 今回のキーワードは環境力。症状と生活のしづらさが固定せず、環境や人間関係に影響を受けやすいのが心の病気のつらさ。だから環境を整えていけば、回復の可能性はたくさんある。環境力(支援力)が8割・当事者力2割と考え、周りの環境を整えサポートする力を強めていけばいい。この話に、参加者の表情が明るくなった。


〜参加者の感想より〜
・ 当事者力は、2割でいいと聞き、とても気が楽になりました。
・ 目からうろこでした。私の力は2割でいいんですね。
・ 今日の話は“心の声”としてストンと届きました。
・ わかりやすかった。生活のしづらさにつながってくることがよくわかった。(松浦幸子)

〜都合の良い回だけでも参加できます。ご予約ください〜

       第3回 2月20日(火)こころの病気の基本的な理解(第一部)
       第4回 2月27日(火)こころの病気の基本的な理解(第二部)
       第5回 3月6日(火)回復のために使える社会資源〜医療・福祉・地域生活住宅・就労・楽しみかた
       第6回 3月13日(火)交流会〜大好評!お茶を飲みながら楽しく交流 

       場所:ティールーム(第一クッキングハウス) 042-484-4103
       時間:14:00〜16:00
       講師:松浦幸子とクッキングハウスメンバーたち
       参加費:1回1500円(当事者・学生1000円)資料・ティータイム付


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