長い冬が終わりようやく桜のほころびかけた北陸津端町。金沢駅から七尾線で15分。中津端駅は小さな無人駅。水野スウさんのとくべつ紅茶になんと、広島、京都、奈良、滋賀県、新潟、富山と45名の方達が集まって下さった。まきストーブが部屋の真ん中で踊るように燃えていて、座布団に座った一人一人の顔が輝き、部屋の回りにはピースキルトや「いつもとちがう空を見よう」のピースウォークの横断幕や手作りのピースの旗が飾られ、いい気がいっぱいに満ちている。
対談する3人の女性とは、1982年から地域の子供達や母達にはまなす文庫を開き、平和への思いを子供達に絵本や宮沢賢治を通して読み聞かせ続けてきた細川律子さん。岩手県で生まれ育った細川律子さんの宮沢賢治の朗読は、沢山の子供達や母達の会でも行われるようになっている。「花菜畑」(雪嶺叢書)「宮沢賢治の国より」(雪垣社)はずっと私の好きな本だった。こんなに故郷をしっかり根っこにして、ものの見方を深めている細川律子さんのお話をじっくり聞いてみたいと思っていた。
2人目は紅茶の時間を1983年からやり続けている水野スウさん。おしゃれで、理性的であったかい気持ちいっぱいの、私の憧れの大人の女性。「きもちは言葉をさがしている」の本はすっと心ひかれ手元に置きたくなる。
3人目は、私、松浦幸子だ。
私は、細川律子さんと水野スウさんと私と共通なものを持ちながらも、私がなかなかできなくて憧れてしまう面をもった女性の話を聞きたいな、と夢を語ったら、本当に実現できることになった。
水野スウさんも、「夢のような3人ジョイントがほんとのことになりました。これも夢の実現ですね。幸子さんはいつもいつも夢を描いている。それがもう生き方になっているのだなって思いました。苦しい日々でも夢をあきらめないこと。小さなできることをこつこつと。それが夢の実現につながってゆくことを松浦さんから学んだんです、私も。」と書いて下さった。
スウさんのパートナー、まあさんの用意してくれたベンチに3人は座り、そばにはすいせんの花の香り、春の山に咲くキクザキイチゲの紫の花、3月に出会った小谷青年の持ってきてくれた桜の花が飾られた。アイデアに感心したのは、スウさんの作成した「3人のつながり年表」だ。3人の活動が自分の足元から始まり、多くの人たちとつながっていく現在までの歩みが「つながり」というキーワードで書かれている。
プログラムの一部は、3人のつながり物語で始まった。
参加者は、「3人の話が一度に聞けるなんて、盆とクリスマスと正月が一緒にきたようです。」「幸せの三点セットおまけつき!!」と喜んでくれた
二部は、それぞれの居場所から考えるPEACE。3人のつながりはPEACEという共通項にたどりつく。私はベンチに座っている3人が、もし船をこぎだすとしたら、食べものが豊かに作れる土地があり、生命が大事にされ、差別や戦争のない平和な島にたどり着けるように、力をあわせるのだろうなあ。そしてどこに行っても、3人は人々が楽しく語りあえる居場所を開くのだろうな、と思い描いた。
私は、クッキングハウスという居場所が弱い立場におかれた人達に安心感をプレゼントし、一人一人の希望を実現していくために、どうしても平和が必要だと思い、9のつく日にピースランチをつくったり、平和葉書やバンダナ、クッキーをつくっていること、れんこんの会で一緒にピースナインコンサートをやったこと。ピースナインに踊りをつけて「ピースナイン音頭」にして、みんなで楽しくうたって踊っている話をした。「踊ってみせなきゃ!」のまあさんのかけ声に、ピースナインの踊り付きになり、どこに行っても「動くクッキングハウス」をやっているなあ。
水野スウさんは、ピースウォークの話。“いつもとちがう空”をうたいながら、金沢の街を歩く。35年間の家族の暮らしをぜんぶ縫いこんだピース旗やほうきを持ちながら。
細川律子さんは、子どもたちとつくった願いのいっぱいつまったキルトを飾り、子どもたちに戦争を体験した人の願いや、深いメッセージが表現されている絵本を読み聞かせているお話。
三部は、細川律子さんの宮沢賢治の朗読タイム「けんじゅう公園林」けんじゅうという青年が植えた杉の苗が大きくなり、そこでいつも子供たちが楽しく遊ぶようになったけんじゅうの両親は、どんなことがあっても林を売らずにけんじゅうの夢を守り通したので、今では公園となってみんなが楽しく遊べる場だ。細川さんが岩手の言葉でまったく自然に優しく朗読すると、賢治のすべての言葉がなんの無理もなく、すっと心に溶け込んでくる。賢治の表現した言葉の美しさ、理想とした平和な世界が素直に心に落ちてくる。
四部は、参加者からの気持キャッチボール。
“いつもと違う時間をもとう
きもちの糸は つながっている
クッキングハウスと紅茶の時間
みんなと過ごせるこのひとときは
いつもとどこか ちがう とき”
みんながうたって終了。
そのあとは一品持ち寄り夕食会。昆布巻き、笹団子、つくしの酢の物、いわしのしょうが煮、蓮根のきんぴら等、地元の心尽くしの一品をいっぱい食べて語り合って・・・。(松浦幸子)
昨年度(2005年)の講座も沢山のかたが参加してくださり、好評のうちに終了しました。第3回目(冬期)のシリーズでは、全5回通して参加してくださった方が7名もいて、最終回では恒例となった終了式を行いました。
メンバーの勝田さんがパソコンで作ってくれた終了証とケーキセットのご招待券を準備して、お一人お一人に写真撮影をしながらのプレゼント。皆さんとても喜んでくださり、最初は終了者の方と松浦さんのツーショット写真が是非メンバーの方もご一緒に!とリクエストがあり賑やかなひとときになりました。
市民講座も回数を重ねてきたことで、メンバーと講師の松浦さんとの呼吸もぴったりあって、打ち合わせをしたわけでもないのにその場ですぐにSSTのロールプレイを披露したり、そのときの講座のテーマとポイントを押さえ自分の体験をメンバー達が語るなど講座全体がますます充実してきました。
また第3回目から講座終了後に、参加したメンバーとスタッフで振り返りを行い、気持ちを語り分かち合う時を持ちました。この時間は私達に、ともに学ぶ大切さや、新しい発見また気づきを与えて確認できたとても貴重な時間ともなりました。この語り合いの時を参加してくださった方たちとも共有してみたいとのメンバーからの提案で、今年度の講座からは全6回シリーズとなり、最後の6回目は交流会にして、参加した方達との語り合いの時間として企画しました。お茶とお菓子を食べながら、この講座で出会った方達と温かい時間をもてればと思っています。
第1回(春期)は6月から始まります。初めて参加される方はもちろん、以前参加された方も大歓迎!皆さんの参加をお待ちしています。(中津川典子)
<メンタルヘルス市民講座 日程>
第1回 6月6日 (火)病気のつらさ・生活のしづらさ
第2回 6月13日(火)回復に向かって〜市民としてどう付き合えるか、どう付き合ってほしいか
第3回 6月20日(火)こころの病気の基本的な理解(第一部)
第4回 6月27日(火)こころの病気の基本的な理解(第二部)
第5回 7月4日 (火)回復のために使える社会資源〜医療・福祉・地域生活・住宅・就労・楽しみかた等
第6回 7月11日(火)交流会〜お茶を飲みながら楽しく交流しましょう
(新しい提案が実現。楽しみです。)