日本国憲法に女性の権利と男女の平等を書き、女性の権利をできるだけくわしく具体的に書きこもうと日本の女性たちのために涙を流してがんばってくれた女性がいました。82才になるベアテ・シロタ・ゴードンさんです。
4月25日 ベアテさんの講演を東京弁護士会館で聴くことができました。早くから並んだので前から2列目に座ることができ、ベアテさんのお顔を正面から見ることができました。あたたかさ、ユーモア、理知的に輝く表情。歴史を変えた人の言葉を一言一句も聞きもらしてはいけないと全身で集中した一時間半。
「この60年間、憲法の改正はなかった。第24条、男女の平等は他の国のモデルとなる。戦争がない平和的に暮らせる。だから、平和運動は女性の義務なのです。女性が幸せにならなければ、平和はない。しかし、平和を勝ち取っていく作業は、そんなに簡単なことではなく、闘いだ。女性は、自立し、仕事を持ち、女性の権利のために闘い続ける勇気をもってほしい。男性はそういう女性を支えてほしい。日本の女性は、憲法を社会福祉のために使うこと。毎日の生活の中で十分生かしてほしい。そして、まだ社会的権利をもてないで苦しんでいる世界の女性達に視野を広げて、自分の進歩を伝え、平和を守っていく仕事があることに気づいてほしい。」
包みこむような笑顔で、終始、励まし続けてくれました。ベアテさんは、長年月、文化交流の仕事をされながら私達日本女性の地位の向上や成長をみてこられました。こんなに深い愛をもらって、私達は幸せです。憲法24条の上にあぐらをかいていてはいけない。高い理想をかかげた日本国憲法に守られてきた私達、平和を実現する女性になっていきたいと大きな勇気をもらいました。(松浦幸子)
「1945年のクリスマス」
ベアテ・シロタ・ゴードン 柏書房
「ベアテの贈りもの」
岩波ホールにて7/8までロードショー
去年から実行委員会を重ねてきた、上野水上音楽堂での憲法フォークジャンボリーのプレコンサート。4月30日の朝は会場を練り歩いた時、上野公園の鳥も「ピースピース」と鳴いていたようでした。メンバー達は笠木透さんが大きな舞台で歌うことに驚いています。いつもクッキングハウスの小さな場で慣れ親しんできましたから。
私は音楽のことは何もわからないのに司会役。でも、クッキングハウスの居場所がずっとあり続けられるために、病気や障害があっても、人間らしく快適に、自分の希望に向かって生きていけるために、平和が続かなければいけないと思っていますから、平和への強い思いを共有できる会になればいいと、明るい、あたたかい雰囲気をつくるようにしました。出演者もそれぞれが素晴らしく、何よりも会場の参加者の表情が実にいいのです。一人ずつ自分の意志で集まって下さったことが、よくわかりました。全国各地からお客様。新潟からは関川村のままやのみなさんが平田ゆかりさんとやってきました。しかも、大きな舞台看板をつくってもってきてくれたのです。私達は再会を喜びました。戦争放棄の恵那雑巾や、アクセサリーや絵葉書や手拭いなど、憲法グッズを紹介するとすぐに売れていきます。「のぼりに使う竹を切り、竹の子を掘り、夕べから竹の子を煮ました。」と言うと、竹の子が売れるという具合。テレビショッピングをみているようだったとも。
コンサートのあと「憲法のことをあらためて考えるきっかけになった。図書館に行き、読んでみました」「メーデーの楽しかった日のことを思いだしました」「通りがかりの人まで関心をもって聴いていた」「店をだし、会場内を行商できて活気があった」たくさんの感想がでました。「8月26日、27日にはもっと、模擬店を工夫しよう」「ゆかたを着ていこう」「もっと多くの人に伝えて誘ってくるわ」「ピースナインの踊りを考えてこよう」と早くも夏への期待がふくらんでいます。(松浦幸子)
8月26日(金)午後2時から午後8時まで
27日(土)午前10から午後7時まで
場所:上野水上音楽堂
出演者:笠木透と雑花塾、横井久美子、きたがわてつ、他多数
みなさん会場でまた会いましょう。
朝から仕込み部隊はてんやわんやで、ネコの手も借りたい状態でした。製品運搬役のドライバーをかってでてくれた、片桐さんまで動員してのパック詰め作業でした。「すごいね〜。まさに戦いの場だね!」とは片桐さんの弁。松浦さんが自宅で炊いてきてくれた大量の「たけのこ煮」も届き、「玄米赤飯」「炊き込みご飯」が出来上がりました。会場では商売上手なメンバーが元気良く売りさばきます。「クッキングハウス特製、おいしい炊き込みご飯はいかがですか〜!」「おやつに手作りのケーキとコーヒーはいかがですか〜!」コンサートの後半にさしかかると、「行商してきますね。」とかごにクッキーやケーキやご飯を入れて、とにかくどんどん売ってくれます。クッキングハウスのメンバーは、いつも本番で凄い力を発揮してくれます。そんなメンバーに触発されてスタッフも頑張れちゃうんです。みごと完売して、気持ち良く帰ることが出来ました。8月のフォークジャンボリーでもそんな元気なクッキングハウスのお店がでます。皆さん是非来てくださいね。(もちろん商品も購入してください。) (竹内高子)
5月の巻
石川県津幡町 紅茶の時間に 一日SSTワークショップ
5月21日(土)に富山県ホームヘルパー協議会で人間らしく、地域で一緒に暮らそう、ひとりぼっちにはさせない。とクッキングハウスの18年の活動を講演。せっかく富山まで行くから、紅茶の時間の水野スウさんにSSTのワークショップをやりましょうか、と声をかけました。"棚から松浦もちが落ちてきた"と大喜び、"ともとも"や"ほっころろん"や引きこもりの会の、今、引きこもりや心のつらさをかかえている我が子と、どう気持ちの通い合えるコミュニケーションをとったらいいのか。思い悩んでいるお母さん達に、呼びかけてくれました。
20名定員の予定が26名。家族、精神保健福祉の現場で働く人達が、手に手にお昼の一品を持って集まってくれました。大学生の万依さん「気持ちは言葉をさがしている」水野スウと共著)が人間のつくりだす場をテーマに卒論を書きたいと、参加してくれ、練習の場面に多いに新鮮なパワーを発揮してくれました。
午前中は、SSTの基礎理論と方法の講義。SSTが安心できる場で、対等の仲間関係の中で、うまくなりたい対人行動を、小さく分けて練習し、目標に達していくというクッキングハウスでの具体的練習をデモンストレーションしながら説明。
今できていることに何をプラスしたら、希望を達成し、納得した人生を送れるのか。SSTは、一人一人の希望を大切にしていること。だから毎回感動があり、メンバー達が、地域で自立して生きていくための心強い味方になっていることをなんとかうまく伝えたいと一生懸命話しました。
昼食は一品持ち寄りパーティー。竹の子、山菜、ちらし寿司、いなり寿司、サラダ(きゅうりとうど、豆とひじき)タコのマリネ、タイカレー、豆料理、玄米赤飯、チーズケーキ、煮もの、等々、北陸の上品な味がいっぱい。クッキングハウスの一品持ち寄りお花見会や運動会の話もして、一品持ち寄ることに楽しさが感じられるか、朝から心をこめてつくって下さった方々に感謝を伝えました。
午後は気持ちを聴いたり、うまく相手の気持ちを伝える練習をいっぱいしました。
1、聴く練習 ペアになり、共感的反応をおくりながら聴きます。相手の目を見、うなづき・・・言葉に気持ちを添えて伝えます。聴いてもらった方は、どんなところで、聴いてもらえたという快地良さを感じたか具体的に相手に伝えます。簡単なようでむずかしいですが、でも練習すると必ずうまくなる、クッキングハウスのメンバーもいつも練習しているので、上手になりましたと励ましながらすすめました。
2、ほめる練習 ほめたい、感謝したい、そんな思いを伝えたかった相手を思い浮かべ、ペアになってくれた人に、例えば「夫に感謝の気持ちを伝えたいと前から思っていたけどずっとできないできたから、夫役になってください」と言い、練習します。私メッセージで、具体的に、シンプルに明るく話すことがポイントです。思わず涙があふれてしまう、感動のシーンでした。
3、自動思考を変えてみる練習 ストレスのかかる子どもの話を聞く時、「ああ、またか・・・」「きたきた(いやだなあ)」と、どうしても気持が後ずさりして、否定的になりがち。そんなくせになってしまった考え方(自動思考)を変えたいと思うのだったら、子どもの良いところ、今できていること、希望を言葉にして言ってみよう。万依さんが娘役に。お母さんが最初はためらっていたが勇気をだして、娘の背中に優しく手をおき「今までも、苦しくてもよくやってこれたね」と伝える。娘は「背中に手をおいてもらって、すごく安心した」と気持を伝えて、なぜか、みている私達は感動し、涙があふれました。
自動思考になっていたチャンネルを変えてみたいという感想が多くでて、その反響の大きさに驚きました。
10時から4時すぎまでの1日SSTワークショップは私にとっても初めてでしたが、充実した集中した時間。伝えたい人と学びたい人の呼吸が合い、そして紅茶の時間が20年かけて熟成させてきた深く、やさしいぬくもりがありました。
5月の緑が心まで染めているような景色でした。(松浦幸子)
いのみら通信 NO.80より
水野スウさんの文章です
松浦さんが言われた「コミュニケーションの練習をする場ってなかなかありませんね。クッキングハウスでは日常的に繰り返すことで、いつのまにかSSTがメンバーたちの居場所になりました。仲間たちのあったかい応援をもらって、メンバーたちが前向きに生きられるようになった。そういうSSTを続けてきてよかったなあってつくづく思います」に、レストランでのSSTに何度か参加したことのある私も、本当にそう思う。毎週の「紅茶の時間」でも、いい感じにすいてる時にうまくチャンスをとらえて、何気なく練習を重ねていけたらいいな、と考えています。
田植えも終わり、のどかな田園風景。心がほっとできる、誰にとってもふるさとのような関川村に、総勢17名のツアーがおしかけました。参加者の誰もが、この日をわくわくして、楽しみにしていたのです。2泊3日の旅は、こうして始まりました。
人間のうたコンサート
笠木透と雑花塾のコンサートに、クッキングハウスもゲスト出演。小さいけれど、きらりと光る村にふさわしい、会場とステージが一つになった瞬間でした。「わが大地のうた」は、震えるような感動で涙がこぼれました。
連日の大宴会
一日目の宴会は、平田大六村長さんも参加され、総勢57名の大宴会となりました。ままやの皆さんの「田邊順一物語」は、平山さんのカメラ太郎が最高!負けじとばかり、クッキングハウスは「笠木透物語」です。日頃SSTで場面作りをし、役割を演じている私たちは、松浦さんの脚本・演出を見事にこなし、笠木さんのこれまでの人生を、歌あり笑いあり涙ありアドリブありで熱演しました。
この地に生きる〜田邊順一さん写真展〜
子どもからお年寄りまで、みんなのいい笑顔がそこにありました。村の人もこの写真展の存在をずいぶん知っている様子です。田邊さんも「この方は〜さんで、こんな話をしてくれたんです。」と一枚一枚説明をしてくれ、撮影の思いを語って下さりました。
ままやの公開紹介会
いつもクッキングハウスで私たちがやっている公開紹介会は、ままやでもやっているらしい!楽しみにしていた時間です。メンバーの人が変わってきた様子、何を大切にままやの活動をしているか、平田ゆかりさんを初めとしてみんなの思いが伝わってきて、心が温まりました。ままやの姫君「せっちゃん」が手話で歌う「君が君の主人公だから」に涙が出ました。すてきな時間をどうもありがとうございました。
村上市 町家作りの観光
村上市は町屋作りの家が多く残る町。塩引き鮭のお店、お茶屋さん、どちらもご主人が町屋作りの歴史や暮らしを丁寧に話して下さいました。すてきなおもてなしがうれしかったです。案内をしてくれた村山さんもありがとうございました。
最後は村上駅で涙のお別れ…また東京でみんなで頑張ろう。そんなエネルギーをたくさんもらいました。出会いのたくさんある、感動の旅を本当にありがとうございました。 (報告 田村陽子 林由佳里)
関川村のすてきな居場所「ままや」の平田ゆかりさんのお便りです。
関川の旅、おつかれ様でした。なつかしい顔にわが村で再開できた事、心からうれしいです。皆さんに来ていただきたい。そんな夢をもって、小さな小さな場所を開いてきました。
笠木さん達の「ここでたおれてもいい。」との言葉どおり、迫力ある歌声。笑って、泣いて、お互いの心を交換しあった宴会の席のあたたかさ。なにもかもが私の宝物になっています。
そしてメンバーの皆さんの「誰も一人にさせない。」という思いがひしひしと伝わってきた村上の旅。手をとりあって歩く姿は、人間の美しさではなかったでしょうか。
でもクッキングハウスの仲間の中にこもらず、私達と大いにやりとりをして下さっていた…。皆さんの質の高さを、今また私のモデルとして、誇りに思っています。
これからもクッキングハウスと根っこを同じくしながら、私達らしい場を続けていきたいと思います。謝々。
6月2日(木)に調布市の大型バスを利用して、塩山にさくらんぼ狩りに行ってきました。当日は雨模様でしたが、富士屋ホテルの桃源の間という披露宴ができるような会場でゆったりと会席料理を食べたり、見晴らしの良い温泉に行く人、優雅にホテルでティータイムをとる人など思い思いに過ごしました。またバスの中では恒例の一芸大会!おなかも心も満足の一日でした。
などなど帰りのバスでは参加したみんなの感想がたくさん聞けました。 (中津川典子)
精神の病から立ち直る最先端の考え方が「リカバリー」です。「リカバリーとは、家族、友人と一緒に時間を過ごし、仕事をし、楽しんだり、普通の気持をいろいろ体験しながら生活することです」とロバート・ポール・リバーマンの「日本の友に贈る言葉」を読んで安心しました。まさにクッキングハウスが18年間、ひとりぼっちではなく一緒に地域で、人間らしく快適に暮らそう、と創意工夫をしながらとりくんできたことがリカバリーだったのです。前田ケイ先生の訳は、読みやすく私達の心に届く言葉になっていて、あきらめない強い意志とあたたかい情熱を秘めていて読みすすめていくと希望が湧いてきます。
前田ケイ先生は監役者のあとがきとして
『私がこの本に託す願いは、第一に、少数でもがんばっている日本のリカバリー志向の精神保健の専門家をエンパワーしたいということです。いろいろ問題にもかかわらず、アメリカのメンタルヘルスは前進しています。私たちもがんばろう、時代は私たちの味方だ、という気持ちを込めて、この本を送り出したいと思います。第二に、これまでリカバリーの道を歩みながら、志なかばで倒れた多くの友、著者の名づけた「リカバリー・チャンピオン」に対する鎮魂として、この本を捧げたいと思います。たとえば、調布のクッキングハウス(作業所)でのSST(対人行動練習)で、いつも熱心に課題を出して練習に励んでいた橋本和良君。保護室に入れられた辛い経験もみんなに話してくれ、作業所にきちんと通いながら、一人暮らしを始めて、お姉さんの結婚する相手と楽しく雑談する練習もしたりして、リカバリーの道を歩んでいたのに、心臓発作で急逝されました。…中 略…その一人ひとり純真で、懸命な、かけがえのない人生に心から哀悼の意を表し、その方がたのリカバリーを支えて下さった関係者に敬意を表するとともに、これからも多くの人とリカバリーの道を共に歩みたいと、心から願っています。』
今は亡き、クッキングハウスの仲間、橋本君の笑顔を思いだし涙があふれました。この本に流れているあたたかさの源がわかりました。
リカバリーを4つの段階に考えてリカバリーへの道路地図をつくるように本著は章立てされています。
●希望をもつこと…もっとよくなれる。そのために、現実に何か可能なのか、はっきりしたイメージを持つこと。
●エンパワーメント…前に進んでいくために自分の可能性と能力を感じること。
●生活のなかの有意義な役割…病気とのかかわりのない、なんらかの有意義な役割を生活の中にもてるようになること。被害者であり続けるのは、病気から立ち直った人の役割ではない。
精神保健福祉分野で働く人が精神の病をもつ人と共にどのようにリカバリーへの道をつくってきたか、生き生きと書かれています。日々サポートしている私達も、家族もとても前向きに元気になれます。ぜひ一読を!!(松浦幸子)