美術というメディアにおいて
ハンディキャップとかは、
へんな言いまわしだがハンデにはならない。
なぜなら、同じ考え方、
同じ表現は必要ないから・・・。
病める天才たち
オーストリア、ウィーン郊外のマリア・グギング国立神経科病院の敷地内にある「芸術家の家」。そこでは10人の画家がそれぞれに自由な時間を過ごしながら共同生活を送っている。
いずれも中年を過ぎた独り身のアーティストたちはみな精神疾患を持つ。彼らの描くものには自己の内側に構築された世界が素朴で斬新に表現されている。ヨーロッパの画壇で天才と呼ばれる作家達の奇妙で優しさにあふれる日常を、美しく映像の中に描き出している。
「芸術家の家」とは・・・
芸術教育を受けない子どもたちや、精神を病んだ人々によって生み出された作品は「アールブリュット=野生の芸術」と呼ばれ、近年日本でも注目され始めている。ヨーロッパでは1920年代からその芸術的価値が認められてきた。
この映画の舞台「芸術化の家」のアーティストたちの作品は欧米各地の展覧会で紹介され、注目を集めている。中でも人気の作家チルトナーの作品は1号2万ドルという高値がつく。アーティストたちはそれぞれに自分の口座を持ち、売上の一部で「芸術家の家」の運営がまかなわれている。
それぞれの遠足
アーティストたちは「芸術家の家」の建っている神経科病院の敷地を出てどこにでも行く。「家」 から出かけることを、「遠足=Der Ausfluk」と呼んでいる。恋人とのデートに出かける男は恋
物語を描く。それぞれの心の中に埋められた孤独な遠足。老いた肉体に少年の心を持つ男 達のかいま見せる光と闇は、情報に翻弄される病める現代人に幸福とは何かを問いかけ
る。 |