歌を語源は"うったえること"だといいます。生きていることの重さを、喜びを悲しみをどうやって、表現していくのか。横山茂さんの人生と歌を重ね合わせると人が生きていくことは、本当にすごいことなのだと心が震えるのです。
20才の青年だった横山茂さんは、終戦後、シベリアに拘留され4年後、生き抜いて日本に帰ってきました。シベリアで、過酷な労働と飢えと寒さで、死との境にいる人たちに、「椰子の実」「ふるさと」を歌うと、深い感動で兵士たちが黒パンの耳をさしだしました。それは「死ぬまぎわにひもじい思いをしたくない。いざ(死ぬ前)という時食べよう」と、隠していた黒パンの耳だったのです。
それから、日本に帰って、帰還考楽団、わらび座、と歌い続けた横山茂さん。
77才になった横山さんは数年前からアルツハイマー病が進行しています。でも、品のある澄んだうた声、生き続けてきたことの貴さを感じさせる味わいは少しも変わっていません。ぜひとも、横山茂さんの歌をきいて、いのちの尊さを感じ合い、2004年が平和な年になることを祈りたいと思います。チャンスはもうそんなにないかもしれません。ぜひともご参加下さい。今回のコンサートには、友人として安達元彦さんがピアノを、たつの素子さんがうたと語りをやって下さいます。心がとてもあたたまり、やさしさが心に染み込んでくるような素敵なコンサートになるでしょう。 |